加速する電車内でボールを床に置くと後ろに転がります。同様に加速する台車上の斜面では、重力で滑り降りようとする力と、加速による慣性力で滑り上がろうとする力が競合します。ちょうど \(a = g\tan\theta\) のとき両者がつりあい、物体は斜面上で静止します。
(1) 慣性系(地上)での斜面方向の加速度
斜面に沿って下向きを正とします。物体にはたらく力は重力 \(mg\) と垂直抗力 \(N\) です。
斜面方向の運動方程式(台車ごと加速度 \(a\) で右に動くことを考慮):
$$ma' = mg\sin\theta - ma\cos\theta$$ $$a' = g\sin\theta - a\cos\theta$$具体例:θ = 30°, a = 5.0 m/s², g = 9.8 m/s² のとき:
$$a' = 9.8 \times \sin 30° - 5.0 \times \cos 30° = 9.8 \times 0.50 - 5.0 \times 0.866 = 4.9 - 4.33 = 0.57 \text{ m/s}^2$$(2) 物体が斜面上で静止する条件
\(a' = 0\) とおくと:
$$g\sin\theta - a\cos\theta = 0$$ $$a\cos\theta = g\sin\theta$$ $$a = g\frac{\sin\theta}{\cos\theta} = g\tan\theta$$\(\theta = 30°\) のとき:
$$a = 9.8 \times \tan 30° = 9.8 \times \frac{1}{\sqrt{3}} \fallingdotseq 5.66 \text{ m/s}^2$$台車に乗った観測者から見ると、物体には重力 \(mg\)(下向き)と慣性力 \(ma\)(左向き)がはたらきます。この合力を斜面方向に分解します:
$$F_{\text{斜面}} = mg\sin\theta - ma\cos\theta$$静止条件 \(F_{\text{斜面}} = 0\) から \(a = g\tan\theta\) が直ちに得られます。
非慣性系で考えると、重力と慣性力の合力の向きが斜面に垂直になるのが静止条件です。スライダーで角度と加速度を変えて、物体が滑り降りる/上がる/静止する境界を確認しましょう。
加速する台車上の問題は、慣性系では「斜面方向の合力に台車の加速度成分を含める」、非慣性系では「慣性力 \(-ma\) を追加」。どちらでも \(a = g\tan\theta\) で静止です。