教科書(物理) 類題19:人工衛星のエネルギー

設問(1):K と U の導出

直感的理解

円軌道の人工衛星は、位置エネルギーの絶対値が運動エネルギーのちょうど 2 倍。K は「動いている分のエネルギー」、U は「重力に束縛されている分のエネルギー(負)」。束縛の方が強いから E < 0 で、衛星は地球から逃げられない。

質量 \(m\) の人工衛星が、質量 \(M\) の地球を中心に半径 \(r\) の円軌道を回る。

運動エネルギー K

円運動の条件 \(m\dfrac{v^2}{r} = G\dfrac{Mm}{r^2}\) より:

万有引力による位置エネルギー U

無限遠を基準として:

答え (1)
$$K = \frac{GMm}{2r}, \quad U = -\frac{GMm}{r}$$
Point

円軌道の条件 \(mv^2 = GMm/r\) を使うことで、\(K = GMm/(2r)\) が出る。「\(K\) は \(|U|\) の半分」は覚えておくべき結果。

設問(2):K : U : E の比

直感的理解

\(E < 0\) は「束縛状態」を意味する。E = 0 がギリギリ脱出(第二宇宙速度)の境界。軌道半径を大きくすると \(K\) は減り \(U\) は 0 に近づくが、比は常に 1 : −2 : −1 を保つ。

力学的エネルギー \(E\) は:

\(GMm/(2r)\) を基準単位 1 とすると:

数値例:質量 2.0 kg の物体が高さ 5.0 m から落下すると、位置エネルギーの減少は \(mgh = 2.0 \times 9.8 \times 5.0 = 98\) J。地面での速さは \(v = \sqrt{2gh} = \sqrt{2 \times 9.8 \times 5.0} = \sqrt{98} \fallingdotseq 9.9\) m/s です。

関連する基本公式:

$$ E_k = \frac{1}{2}mv^2 $$
答え (2)
$$K : U : E = 1 : -2 : -1$$
補足:ビリアル定理との関係

逆2乗力(万有引力)のもとでの円運動では、時間平均として \(\langle K \rangle = -\dfrac{1}{2}\langle U \rangle\) が成り立つ。これはビリアル定理と呼ばれ、天体物理学で広く使われる。

高校物理では「円軌道なら \(K = |U|/2\)」と覚えておけば十分。

Point

円軌道のエネルギー比 1 : −2 : −1 は暗記必須。これを知っていれば、\(K\) がわかれば \(U\) と \(E\) が即座に求まる。\(E < 0\) なら束縛軌道(楕円)、\(E \geq 0\) なら脱出(放物線・双曲線)。