注射器の空気を急に膨張させると冷たくなります。気体が膨張するとき「ピストンを押す仕事」をしますが、断熱なら外からの熱補給がないため、そのエネルギーは内部エネルギーから奪われ、温度が下がるのです。
Step 1:熱力学第一法則を適用
断熱変化では \(Q = 0\) なので:
$$\Delta U = Q - W' = 0 - W' = -W'$$Step 2:膨張時の仕事の符号
気体が膨張するとき、気体は外部に正の仕事をします(\(W' > 0\)):
$$W' = \int p \, dV > 0 \quad \text{(膨張)}$$Step 3:温度変化
$$\Delta U = -W' < 0 \quad \Rightarrow \quad \text{内部エネルギー減少} \quad \Rightarrow \quad T \text{ 低下}$$T₁ = 300 K で体積が2倍なら(γ = 5/3)、T₂ = 300 × (1/2)^(2/3) = 300 × 0.630 ≒ 189 K(約 -84°C):
$$T_2 = T_1 \times \left(\frac{V_1}{V_2}\right)^{2/3} = 300 \times \left(\frac{1}{2}\right)^{2/3} \fallingdotseq 189 \text{ K}$$地上の湿った空気が上昇すると、高度が上がるにつれ気圧が下がり断熱膨張します。温度が露点以下になると水蒸気が凝結し、雲(小さな水滴の集まり)が生じます。スプレー缶が冷たくなるのも同じ原理です。スライダーで体積を変えて温度低下を確認しましょう。
断熱膨張では \(Q = 0\) で \(W' > 0\) なので \(\Delta U < 0\)(温度低下)。断熱圧縮は逆に温度が上がります(ディーゼルエンジンの原理)。