箔検電器は「電荷の偏り」を目に見える形にしてくれる装置です。正に帯電したガラス棒を近づけたとき、箔がさらに開いたということは、箔に集まっている電荷が増えたことを意味します。静電誘導と接地(アース)の効果を段階的に追いかけることが解法のカギです。
問題の状況整理
箔検電器はすでに帯電して箔が開いている状態です。そこに正に帯電したガラス棒を近づけると、箔の開きがさらに大きくなったという情報が最大のヒントです。
(1) 電気量の合計は正か負か
正に帯電したガラス棒を近づけると、静電誘導により金属円板には負電荷が引き寄せられ、箔には正電荷が押し出されます。
もし箔検電器が負に帯電していたなら、箔にある負電荷は金属円板側に引き寄せられ、箔の開きは小さくなるはずです。
ところが実際には箔の開きがさらに大きくなったので、箔検電器は正に帯電していたとわかります。
(2) 接地後にガラス棒を遠ざけた結果
操作を段階的に追いかけましょう。
Step 1:ガラス棒を近づけたまま指で金属円板に触れる(接地)
ガラス棒(+)が近くにあるため、金属円板には負電荷が引き寄せられています。指で触れると、体を通じて地面とつながり(接地)、箔の正電荷が体を通じて逃げます。結果として箔は閉じます。
Step 2:指をはなす
電荷の出入り口が閉じられます。この時点で検電器には、ガラス棒に引き寄せられた負電荷だけが残っています。
Step 3:ガラス棒を遠ざける
ガラス棒による静電誘導がなくなり、金属円板に偏っていた負電荷が検電器全体に広がります。箔にも負電荷が移動し、箔同士が反発して開きます。
数値計算の確認:電気素量 \(e = 1.6 \times 10^{-19}\) C の電子が電位差 100 V で加速されると、運動エネルギーは \(eV = 1.6 \times 10^{-19} \times 100 = 1.6 \times 10^{-17}\) J = 100 eV です。
関連する基本公式:
$$ F = k_e \frac{q_1 q_2}{r^2} $$ $$ E = k_e \frac{Q}{r^2} $$ $$ V = k_e \frac{Q}{r} $$この問題のポイントは「接地(指で触れる)」と「ガラス棒を遠ざける」の順序です。
ガラス棒を近づけたまま接地すると、正電荷だけが逃げて負電荷が残ります。もし先にガラス棒を遠ざけてから接地すると、偏りがなくなった状態で電荷が逃げるため結果が異なります。
この「帯電体を近づけたまま接地→はなす→帯電体を遠ざける」という操作を静電誘導による帯電といい、もとの帯電体と逆の符号に帯電させる方法です。
箔検電器の問題では「箔の開きが大きくなる=箔の電荷が増えた」「箔の開きが小さくなる=箔の電荷が減った」と読み替えるのが基本です。静電誘導 + 接地の操作は手順の順序を1つずつ追いかけることが最も確実な解法です。