+Q は P から「追い出す」方向に電場をつくり、−Q は P を「引き寄せる」方向に電場をつくります。図で見ると、どちらの電場ベクトルも A→B 方向の成分を持ち、OP 方向の成分は上下逆で打ち消し合います。結果、合成電場は A→B の水平方向にまっすぐ向きます。
Step 1:AP, BP の距離を求める
A, B の中点を O とすると、\(AO = BO = \dfrac{d}{2}\)、\(OP = \dfrac{d}{2}\) であり、\(\angle AOP = 90°\) なので三平方の定理より:
$$AP = BP = \sqrt{\left(\frac{d}{2}\right)^2 + \left(\frac{d}{2}\right)^2} = \sqrt{\frac{d^2}{2}} = \frac{d}{\sqrt{2}}$$Step 2:各電荷がつくる電場の大きさ
\(+Q\) が P につくる電場 \(E_1\) と、\(-Q\) が P につくる電場 \(E_2\) の大きさは等しく:
$$E_1 = E_2 = \frac{kQ}{\left(\dfrac{d}{\sqrt{2}}\right)^2} = \frac{kQ}{\dfrac{d^2}{2}} = \frac{2kQ}{d^2}$$Step 3:電場の向き
Step 4:成分に分解して合成
AB 方向を水平、OP 方向を垂直とすると:
各電場の水平成分は \(\cos 45° = \dfrac{1}{\sqrt{2}}\) を使って:
$$E_1 \cos 45° = E_2 \cos 45° = \frac{2kQ}{d^2} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}\,kQ}{d^2}$$合成電場は:
$$E = 2 \times \frac{\sqrt{2}\,kQ}{d^2} = \frac{2\sqrt{2}\,kQ}{d^2}$$数値計算の確認:電気素量 \(e = 1.6 \times 10^{-19}\) C の電子が電位差 100 V で加速されると、運動エネルギーは \(eV = 1.6 \times 10^{-19} \times 100 = 1.6 \times 10^{-17}\) J = 100 eV です。
大きさが等しい2つのベクトル \(E_1 = E_2 = E_0\) のなす角が \(\theta\) のとき、合成ベクトルの大きさは:
$$E = 2E_0 \cos\frac{\theta}{2}$$\(E_1\) と \(E_2\) のなす角は \(90°\)(右上 45° と右下 45° の間の角)なので:
$$E = 2 \cdot \frac{2kQ}{d^2} \cdot \cos 45° = 2 \cdot \frac{2kQ}{d^2} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{2\sqrt{2}\,kQ}{d^2}$$同じ結果が得られます。2つのベクトルが等しい大きさのときは、この公式が便利です。
P は AB の中点 O の真上にあるため、\(\triangle APO\) と \(\triangle BPO\) は合同です。したがって:
\(E_1 = E_2\) なので垂直成分は大きさが等しく向きが反対 → 完全に打ち消し合います。これは対称性から必然的に導かれます。
電場の重ね合わせの手順:(1) 各電荷からの距離を求める → (2) 各電場の大きさを計算 → (3) 向きを確認し成分に分解 → (4) 対称性で消える成分を見極めて合成。正負の電荷の組み合わせでは、対称軸方向の成分が打ち消し合い、電荷を結ぶ方向の成分が強め合うのが典型パターンです。