教科書(物理) 例題8:キルヒホッフの法則

解法

直感的理解

2つの電池が異なる起電力で電流を送り込んでいます。7.0 V の電池 B のほうが強いため、電池 A の枝では「押し負けて」電流が逆流する可能性があります。キルヒホッフの法則で連立方程式を立てれば、電流の正負から向きが確定します。

図のように各枝の電流を \(I_1\)(左枝・下向き仮定)、\(I_2\)(右枝・下向き仮定)、\(I_3\)(中央枝・下向き仮定)とおきます。

キルヒホッフの第1法則(分岐点 a):

$$I_1 + I_2 = I_3 \quad \cdots (1)$$

キルヒホッフの第2法則(Loop 1:左の閉回路を時計回り):

$$2.0 = 1.0 \times I_1 + 3.0 \times I_3 \quad \cdots (2)$$

キルヒホッフの第2法則(Loop 2:右の閉回路を時計回り):

$$7.0 = 2.0 \times I_2 + 3.0 \times I_3 \quad \cdots (3)$$

連立方程式を解く:

式 (2) + 式 (3):

$$9.0 = 1.0 \, I_1 + 2.0 \, I_2 + 6.0 \, I_3$$

式 (1) より \(I_1 + I_2 = I_3\) を代入すると:

$$9.0 = 1.0 \, I_1 + 2.0 \, I_2 + 6.0(I_1 + I_2)$$ $$9.0 = 7.0 \, I_1 + 8.0 \, I_2 \quad \cdots (4)$$

式 (2) より:\(I_1 = \dfrac{2.0 - 3.0 \, I_3}{1.0} = 2.0 - 3.0 \, I_3\)

式 (3) より:\(I_2 = \dfrac{7.0 - 3.0 \, I_3}{2.0}\)

式 (1) に代入:

$$(2.0 - 3.0 \, I_3) + \frac{7.0 - 3.0 \, I_3}{2.0} = I_3$$ $$2.0 - 3.0 \, I_3 + 3.5 - 1.5 \, I_3 = I_3$$ $$5.5 = 5.5 \, I_3$$ $$\boldsymbol{I_3 = 1.0 \, \text{A}}$$

式 (2) に代入:

$$I_1 = \frac{2.0 - 3.0 \times 1.0}{1.0} = -1.0 \, \text{A}$$

式 (1) に代入:

$$I_2 = I_3 - I_1 = 1.0 - (-1.0) = 2.0 \, \text{A}$$

\(I_1 = -1.0\) A で負の値が出たので、実際の電流は仮定と逆向き(上向き=右向き)です。

答え
1.0 \(\Omega\) の抵抗に流れる電流:1.0 A, 右向き(仮定と逆向き)
(\(I_1 = -1.0\) A, \(I_2 = 2.0\) A, \(I_3 = 1.0\) A)
補足:負の電流が出る物理的な意味

電池 A の起電力は 2.0 V ですが、3.0 \(\Omega\) の抵抗での電圧降下 \(3.0 \times 1.0 = 3.0\) V のほうが大きいため、電池 A の枝では「電池 B の力に押されて」電流が逆流しています。これは電池 A が充電されている状態に相当します。

Point

電流の向きは仮定してから計算する。解いた結果が負なら仮定と逆向き。最初の仮定が間違っていても、方程式を正しく立てれば正確な答えが得られます。キルヒホッフの法則では「未知数の数=独立な式の数」となるように式を立てることがポイントです。