教科書(物理) 問22:抵抗率と抵抗

解法

直感的理解

電気抵抗は「電流の流れにくさ」を表す量です。同じ材質の導線でも、長いほど抵抗が大きく、太いほど抵抗が小さくなります。これは水道管をイメージすると分かりやすく、長い管ほど水が流れにくく、太い管ほど流れやすいのと同じです。抵抗率 \(\rho\) は材質固有の値で、\(R = \rho l / S\) という公式で抵抗を求められます。

Step 1:問題の整理

ニクロム線の抵抗を、抵抗率の公式を使って求めます。与えられた条件は:

Step 2:公式の確認と適用

抵抗 \(R\) は、抵抗率 \(\rho\)、長さ \(l\)、断面積 \(S\) を使って次の公式で求められます:

$$ R = \frac{\rho l}{S} $$

この公式は「長いほど抵抗が大きい」「太いほど抵抗が小さい」という直感と一致しています。

Step 3:単位の変換

断面積を mm\(^2\) から m\(^2\) に変換します:

$$ S = 0.50 \text{ mm}^2 = 0.50 \times 10^{-6} \text{ m}^2 = 5.0 \times 10^{-7} \text{ m}^2 $$

Step 4:数値計算

$$ R = \frac{1.1 \times 10^{-6} \times 2.0}{5.0 \times 10^{-7}} $$

分子を計算します:

$$ 1.1 \times 10^{-6} \times 2.0 = 2.2 \times 10^{-6} $$

分母と割り算します:

$$ R = \frac{2.2 \times 10^{-6}}{5.0 \times 10^{-7}} = \frac{2.2}{5.0} \times 10^{-6-(-7)} = 0.44 \times 10^{1} = 4.4 \text{ } \Omega $$

数値計算の確認:抵抗 10 Ω に電流 0.50 A が流れるとき、電圧は \(V = IR = 0.50 \times 10 = 5.0\) V、消費電力は \(P = I^2 R = 0.50^2 \times 10 = 2.5\) W です。

答え:
\(R = 4.4\) \(\Omega\)
補足:単位の確認(次元解析)

公式 \(R = \rho l / S\) の単位を確認しましょう:

$$ [R] = \frac{[\Omega \cdot \text{m}] \times [\text{m}]}{[\text{m}^2]} = \frac{\Omega \cdot \text{m}^2}{\text{m}^2} = \Omega $$

単位が正しく \(\Omega\) になっています。計算結果の妥当性を確認する際、次元解析は強力なツールです。

補足:mm² → m² の変換で間違えやすいポイント

面積の単位変換は要注意です:

$$ 1 \text{ mm} = 10^{-3} \text{ m} $$ $$ 1 \text{ mm}^2 = (10^{-3})^2 \text{ m}^2 = 10^{-6} \text{ m}^2 $$

よくある誤り:\(0.50 \text{ mm}^2 = 0.50 \times 10^{-3} \text{ m}^2\) としてしまう(長さの変換をそのまま面積に適用)。面積は長さの2乗なので、指数が2倍になることに注意しましょう。この誤りをすると答えが \(0.0044\) \(\Omega\) になってしまいます。

補足:指数の割り算のコツ

指数の割り算では「引き算」になります:

$$ \frac{10^{-6}}{10^{-7}} = 10^{-6 - (-7)} = 10^{-6 + 7} = 10^{1} $$

マイナス同士の引き算で符号を間違えやすいので、「マイナスを引く=プラスを足す」と覚えましょう。

Point

抵抗の公式 \(R = \rho l / S\) では、断面積の単位変換がもっとも間違えやすいポイントです。mm\(^2\) → m\(^2\) の変換では \(\times 10^{-6}\) になることを確実に押さえましょう。また、抵抗率 \(\rho\) は物質固有の値で、ニクロム(\(1.1 \times 10^{-6}\) \(\Omega \cdot\) m)は銅(\(1.7 \times 10^{-8}\) \(\Omega \cdot\) m)の約65倍もあり、電熱線に使われる理由がこの大きな抵抗率にあります。