教科書(物理) 例題13:一様な磁場中の荷電粒子の運動

Step 1:加速による速度

直感的理解
電子は電圧 \(V\) で加速されます。静止状態から出発するので、電場がした仕事 \(eV\) がすべて運動エネルギー \(\frac{1}{2}mv^2\) に変わります。

エネルギー保存則より:

$$ eV = \frac{1}{2}mv^2 $$

速度 \(v\) について解くと:

$$ v = \sqrt{\frac{2eV}{m}} \quad \cdots (1) $$

Step 2:磁場中の円運動

直感的理解
磁場に垂直に入射した荷電粒子は、ローレンツ力を受けて等速円運動します。ローレンツ力は常に速度に垂直なので仕事をせず、速さは変わりません。この力が円運動の向心力になります。

ローレンツ力が円運動の向心力を提供するので:

$$ evB = \frac{mv^2}{r} $$

\(v\) について解くと:

$$ v = \frac{eBr}{m} \quad \cdots (2) $$

Step 3:比電荷の導出

直感的理解
加速の式(1)と円運動の式(2)の両方に \(v\) が含まれています。\(v\) を消去すれば、\(e/m\) が測定可能な量(\(V\), \(B\), \(r\))だけで表せます。これがJ.J.トムソンの実験の本質です。

(1)式を2乗して:

$$ v^2 = \frac{2eV}{m} $$

(2)式を2乗して:

$$ v^2 = \frac{e^2B^2r^2}{m^2} $$

両式の左辺が等しいので:

$$ \frac{2eV}{m} = \frac{e^2B^2r^2}{m^2} $$

両辺を \(e/m\) で割って整理すると:

$$ \frac{e}{m} = \frac{2V}{B^2r^2} $$
答え
\(\displaystyle \frac{e}{m} = \frac{2V}{B^2 r^2}\)
📐 (2)式から直接代入する別解

(2)式 \(v = eBr/m\) を(1)式 \(eV = \frac{1}{2}mv^2\) に代入:

\(eV = \frac{1}{2}m \cdot \frac{e^2B^2r^2}{m^2} = \frac{e^2B^2r^2}{2m}\)

両辺を \(eB^2r^2/2\) で割ると、同じ結果が得られます。

🔬 発展:J.J.トムソンの実験

1897年にJ.J.トムソンはこの原理を用いて電子の比電荷を測定し、電子の発見につながりました。実測値は \(e/m \fallingdotseq 1.76 \times 10^{11}\) C/kg です。加速電圧 \(V\)、磁束密度 \(B\)、半径 \(r\) はすべて実験で測定できる量なので、比電荷が求まります。

Point

荷電粒子の問題では「加速の式」と「円運動の式」の2本立てが基本。\(v\) を消去して比電荷や質量を求める問題は頻出。式変形で \(v^2\) を揃えると消去しやすい。