教科書(物理) 思考学習

解法

直感的理解

普通の直流モーターでは整流子が半回転ごとに電流の向きを切り替えます。クリップモーターでは、エナメルを片側だけ半分はがすことで、コイルが回転している間の半分は電流が流れ(力を受ける)、もう半分は電流が切れる(惰性で回る)という仕組みで回転を維持します。ボタンでエナメルのはがし方を切り替えて比較しましょう。

考察1:コイルの上側が N 極側の磁場にあるとき

電流を流すとフレミングの左手の法則により、コイルは反時計回りに力を受けて回転し始めます。

考察2:エナメルの半分はがし

片側のエナメルを半分だけはがすことで、コイルが半回転するたびに:

これにより逆向きの力が生じることなく、コイルは同じ方向に回転し続けます。

力のモーメントの計算:

コイルに電流 \(I\) が流れ、磁場 \(B\) 中で辺の長さ \(l\) のとき:

$$ F = BIl $$ $$ \tau = F \times r = BIl \times \frac{l}{2} = \frac{BIl^2}{2} $$

ここで \(r = l/2\) は回転軸からの距離です。

数値計算の確認:電流 10 A の直線導線から距離 5.0 cm の点の磁束密度は \(B = \mu_0 I / (2\pi r) = 4\pi \times 10^{-7} \times 10 / (2\pi \times 0.050) = 4.0 \times 10^{-5}\) T。磁場中の導線に働く力は \(F = BIl = 4.0 \times 10^{-5} \times 10 \times 0.10 = 4.0 \times 10^{-5}\) N です。

答え
片側のエナメルを半分だけはがすことで、半回転ごとに電流のON/OFFが切り替わり、逆向きの力が生じない。これが整流子の役割を果たし、コイルが一方向に回転し続ける。
🔬 発展:整流子付きモーターとの違い

実際のモーターでは整流子(コンミュテーター)が半回転ごとに電流の向きを切り替え、常にトルクが同じ方向になります。効率は整流子付きのほうが高いですが、クリップモーターは「OFF期間に惰性で回る」ことで簡易的に同じ効果を得ています。

$$ \tau_{\text{平均(クリップ)}} = \frac{1}{2}\tau_{\text{最大}} \quad (\text{ON時間は半周期}) $$
Point

直流モーターでは半回転ごとに電流の向きを切り替える整流子が必要です。クリップモーターのエナメル半はがしは、電流の切断で同じ効果を実現する巧みな仕組みです。ボタンで3モードを比較して理解を深めましょう。