電流を流した導体に磁場をかけると、キャリアがローレンツ力で片側に偏ります。偏ったキャリアが電場を生み出し、ローレンツ力とつりあったところで定常状態になります。どちら側が高電位になるかは、キャリアが正電荷か負電荷かで決まります。
Step 1:(1) キャリアの正負を判定
電流が右向きのとき:
しかし問題ではP が高電位とあるので、逆に考えましょう。
電子が P 側に偏ると P は負になり Q が高電位になります。P が高電位であるということは、キャリアは負電荷(電子)で、電子は Q 側に偏り、P 側が正に帯電したと考えます(電流の向き・磁場の向き・試料の寸法で方向が決まるため、問題の図に応じて判断)。
Step 2:(2) キャリアの速さ
定常状態では、ローレンツ力とホール電場による力がつりあいます:
$$evB = eE_H = e\frac{V}{d}$$よって:
$$v = \frac{V}{Bd}$$Step 3:(3) 単位体積あたりのキャリア数
電流は \(I = nevS\) と書けます(\(S = d \times t\) は断面積、ただしここでは電流方向に垂直な断面)。
ホール電圧の関係式 \(V_H = \dfrac{BI}{ned}\) から:
$$n = \frac{BI}{eVd}$$数値計算の確認:電流 10 A の直線導線から距離 5.0 cm の点の磁束密度は \(B = \mu_0 I / (2\pi r) = 4\pi \times 10^{-7} \times 10 / (2\pi \times 0.050) = 4.0 \times 10^{-5}\) T。磁場中の導線に働く力は \(F = BIl = 4.0 \times 10^{-5} \times 10 \times 0.10 = 4.0 \times 10^{-5}\) N です。
ホール効果は半導体のキャリアの種類(n型かp型か)の判定に使われます。また、ホール電圧は \(V_H \propto B\) なので、磁場の強さを測定するホールセンサーにも応用されています。スマートフォンの方位磁針機能にも使われています。
ホール効果は (i) ローレンツ力でキャリアが偏る → (ii) 電場が生じる → (iii) つりあいで停止、の3段階で理解します。\(evB = eV_H/d\) がつりあいの条件。高電位側の符号からキャリアの正負が判定できます。