サイクロトロンは粒子を「渦巻き状」に加速する装置です。D 字型電極の中では磁場で半円運動し、ギャップを通るたびに電圧で加速されます。速さが増すと軌道半径は大きくなりますが、半周期 \(T/2 = \pi m/(qB)\) は速さに依存しないため、一定周波数の交流電圧で繰り返し加速できます。
Step 1:(1) 右側 D\(_a\) 内の軌道半径
ローレンツ力 = 向心力より:
$$qv_0 B = \frac{mv_0^2}{r_1} \quad \Longrightarrow \quad r_1 = \frac{mv_0}{qB}$$Step 2:(2) 高周波電圧の周期
D 電極内で半円を描く時間(半周期):
$$\frac{T}{2} = \frac{\pi r_1}{v_0} = \frac{\pi}{v_0} \cdot \frac{mv_0}{qB} = \frac{\pi m}{qB}$$高周波電圧の周期はこの半周期の2倍(1周期分):
$$T_0 = 2 \times \frac{\pi m}{qB} = \frac{2\pi m}{qB}$$この周期は速さ \(v_0\) に依存しない!ここがサイクロトロンの核心です。
Step 3:(3) \(n\) 回加速後の速さ
ギャップを1回通過するごとに電圧 \(V\) で加速されるので、\(n\) 回加速後のエネルギー保存:
$$\frac{1}{2}mv_n^2 = \frac{1}{2}mv_0^2 + nqV$$ $$v_n = \sqrt{v_0^2 + \frac{2nqV}{m}}$$\(n\) 回加速後の D 電極内での軌道半径:
$$r_n = \frac{mv_n}{qB}$$数値計算の確認:電流 10 A の直線導線から距離 5.0 cm の点の磁束密度は \(B = \mu_0 I / (2\pi r) = 4\pi \times 10^{-7} \times 10 / (2\pi \times 0.050) = 4.0 \times 10^{-5}\) T。磁場中の導線に働く力は \(F = BIl = 4.0 \times 10^{-5} \times 10 \times 0.10 = 4.0 \times 10^{-5}\) N です。
粒子の速さが光速に近づくと、相対論的効果で質量が \(m \to \gamma m\)(\(\gamma = 1/\sqrt{1 - v^2/c^2}\))と増大します。すると半周期 \(\pi m/(qB)\) が一定でなくなり、交流電圧の周波数を同期できなくなります。これを解決するために、磁場や周波数を調整するシンクロサイクロトロンやシンクロトロンが開発されました。
サイクロトロンの最重要ポイントは「半周期 \(\pi m/(qB)\) が速さに依存しない」ことです。加速されて速くなっても半径が大きくなるだけで、D 電極内の通過時間は変わりません。だから一定周波数の交流電圧で繰り返し加速できるのです。