傾きの角 \(\theta\) のなめらかな斜面上に質量 \(m\) の物体が糸で引かれて静止しています。重力 \(mg\) は鉛直下向きですが、斜面方向と斜面に垂直な方向の2成分に分解すると、それぞれの方向でつりあいの式が立てられます。角度を変えると張力 \(T\) と垂直抗力 \(N\) がどう変わるか、スライダーで確認しましょう。
斜面に沿って糸で引かれた物体が静止しているとき、斜面方向と斜面に垂直な方向の2方向で力がつりあいます。
重力 \(mg\) を斜面に沿った成分と垂直な成分に分解すると:
$$ mg\text{の斜面方向成分} = mg\sin\theta $$ $$ mg\text{の垂直方向成分} = mg\cos\theta $$具体的な計算(\(m = 2.0\,\text{kg}\), \(\theta = 30°\), \(g = 9.8\,\text{m/s}^2\)):
斜面方向のつりあいより:
$$ T = mg\sin\theta = 2.0 \times 9.8 \times \sin 30° = 2.0 \times 9.8 \times 0.50 = 9.8\,\text{N} $$垂直方向のつりあいより:
$$ N = mg\cos\theta = 2.0 \times 9.8 \times \cos 30° = 2.0 \times 9.8 \times 0.87 = 17\,\text{N} $$\(\theta\) が大きくなる(斜面が急になる)と:
極端な場合を考えると分かりやすいです:
上のシミュレーションでスライダーを動かして、この関係を確かめてみましょう。
力の分解ではなく、力の三角形を使って解くこともできます。3力 \(T\), \(N\), \(mg\) がつりあっているので、ベクトルを順に繋ぐと閉じた三角形になります。
$$ \frac{T}{\sin\theta} = \frac{N}{\cos\theta} = \frac{mg}{1} $$この比から直接 \(T = mg\sin\theta\), \(N = mg\cos\theta\) が求まります。力が3つの場合はラミの定理を使う方法もあります。
数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6
数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6
斜面の問題では「斜面方向」と「斜面に垂直な方向」に軸を取るのが鉄則です。重力を分解することで、未知数が \(T\) と \(N\) の2つだけになり、2本のつりあい式で解けます。水平・鉛直に軸を取ると \(T\) と \(N\) の両方に三角関数が入り、計算が複雑になります。