教科書(物理基礎) 類題8:力のつりあい②

解法

直感的理解

傾きの角 \(\theta\) のなめらかな斜面上に質量 \(m\) の物体が糸で引かれて静止しています。重力 \(mg\) は鉛直下向きですが、斜面方向と斜面に垂直な方向の2成分に分解すると、それぞれの方向でつりあいの式が立てられます。角度を変えると張力 \(T\) と垂直抗力 \(N\) がどう変わるか、スライダーで確認しましょう。

斜面に沿って糸で引かれた物体が静止しているとき、斜面方向斜面に垂直な方向の2方向で力がつりあいます。

重力 \(mg\) を斜面に沿った成分と垂直な成分に分解すると:

$$ mg\text{の斜面方向成分} = mg\sin\theta $$ $$ mg\text{の垂直方向成分} = mg\cos\theta $$

具体的な計算(\(m = 2.0\,\text{kg}\), \(\theta = 30°\), \(g = 9.8\,\text{m/s}^2\)):

斜面方向のつりあいより:

$$ T = mg\sin\theta = 2.0 \times 9.8 \times \sin 30° = 2.0 \times 9.8 \times 0.50 = 9.8\,\text{N} $$

垂直方向のつりあいより:

$$ N = mg\cos\theta = 2.0 \times 9.8 \times \cos 30° = 2.0 \times 9.8 \times 0.87 = 17\,\text{N} $$
答え:
張力 \(T = mg\sin\theta = 9.8\,\text{N}\)、垂直抗力 \(N = mg\cos\theta = 17\,\text{N}\)
補足:θ が変わると T と N はどう変化する?

\(\theta\) が大きくなる(斜面が急になる)と:

  • \(\sin\theta\) が増加 → 張力 \(T\) は大きくなる(重力の斜面成分が増えるため)
  • \(\cos\theta\) が減少 → 垂直抗力 \(N\) は小さくなる(斜面を押す力が減るため)

極端な場合を考えると分かりやすいです:

  • \(\theta = 0°\)(水平)→ \(T = 0\), \(N = mg\)(床に物体が置いてあるだけ)
  • \(\theta = 90°\)(鉛直)→ \(T = mg\), \(N = 0\)(糸でぶら下がっているだけ)

上のシミュレーションでスライダーを動かして、この関係を確かめてみましょう。

別解:三角形の力の合成で解く

力の分解ではなく、力の三角形を使って解くこともできます。3力 \(T\), \(N\), \(mg\) がつりあっているので、ベクトルを順に繋ぐと閉じた三角形になります。

$$ \frac{T}{\sin\theta} = \frac{N}{\cos\theta} = \frac{mg}{1} $$

この比から直接 \(T = mg\sin\theta\), \(N = mg\cos\theta\) が求まります。力が3つの場合はラミの定理を使う方法もあります。

数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6

数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6

Point

斜面の問題では「斜面方向」と「斜面に垂直な方向」に軸を取るのが鉄則です。重力を分解することで、未知数が \(T\) と \(N\) の2つだけになり、2本のつりあい式で解けます。水平・鉛直に軸を取ると \(T\) と \(N\) の両方に三角関数が入り、計算が複雑になります。