壁を手で押すと、手も壁から押し返されます。物体Aが物体Bに力を加えると、必ず同時にBもAに同じ大きさ・反対向きの力を加えます。この2力は別々の物体にはたらくのがポイントです。下のシミュレーションで物体をドラッグし、作用・反作用の力を観察しましょう。
作用・反作用の法則(ニュートンの第3法則)を数式で表すと:
$$ \vec{F}_{A \to B} = -\vec{F}_{B \to A} $$物体Aが物体Bに力 \(\vec{F}_{A \to B}\) を加えるとき、同時にBはAに \(-\vec{F}_{B \to A}\) を加えます。大きさは等しく、向きは反対です。
質量 \(m = 2.0\,\text{kg}\) の物体が床に置かれているとき、物体にはたらく重力は:
$$ W = mg = 2.0 \times 9.8 = 19.6\,\text{N}(下向き)$$この重力(地球が物体を引く力)の反作用は物体が地球を引く力で、大きさは同じ \(19.6\,\text{N}\) です。
ここで重要な区別があります。物体が床から受ける垂直抗力 \(N = 19.6\,\text{N}\)(上向き)は:
$$ W + N = 0 \quad \Rightarrow \quad N = mg = 19.6\,\text{N}(上向き)$$これは重力とつりあっているだけであり、重力の反作用ではありません。
混同しやすい2つの概念を表で整理します:
| つりあいの2力 | 作用・反作用の2力 | |
|---|---|---|
| はたらく対象 | 同じ1つの物体 | 異なる2つの物体 |
| 大きさ | 等しい | 等しい |
| 向き | 反対 | 反対 |
| 条件 | 物体が静止or等速運動 | 常に成立(加速中も) |
判別のコツ:「この2力はどの物体にはたらいているか?」と自問しましょう。同じ物体ならつりあい、違う物体なら作用・反作用です。
つりあいは物体が静止または等速直線運動しているときだけ成り立ちますが、作用・反作用の法則は常に成り立ちます。
例えばロケットが加速しているとき:
$$ F_{\text{ロケット→ガス}} = -F_{\text{ガス→ロケット}} $$ロケットがガスを後方に噴射する力(作用)と、ガスがロケットを前方に押す力(反作用)は加速中でも等しいです。ロケットが加速するのは、ロケットにはたらく力の合力が0でない(つりあっていない)からです。
数値計算:9.8 × 19.6 = 192 kg
数値計算:9.8 × 19.6 = 192 kg
最もよくある間違いは「重力の反作用 = 垂直抗力」とすることです。重力は地球→物体の力なので、その反作用は物体→地球の力(万有引力の反作用)です。垂直抗力は床→物体の力であり、重力と「つりあい」の関係にあるだけです。「誰が誰に及ぼす力か」を常に意識しましょう。