国際宇宙ステーション(ISS)内では宇宙飛行士が浮いていますが、重い荷物を押すと「動きにくさ」を感じます。これは質量(慣性)が場所によらず一定だからです。体重計で0 kgと表示されても、物体の「動きにくさ」は変わりません。
無重力空間では体重計で重さを測れません(\(W = mg\) で \(g \fallingdotseq 0\) のため)。しかし、質量は次の方法で測定できます。
Step 1:既知の力 \(F\) で物体を押す
$$ F = 10\;\text{N を物体に加える} $$Step 2:加速度 \(a\) を測定する
$$ \text{加速度計で } a = 5.0\;\text{m/s}^2 \text{ と測定} $$Step 3:運動方程式から質量を求める
$$ m = \frac{F}{a} = \frac{10}{5.0} = 2.0\;\text{kg} $$重力がなくても、力と加速度の関係から質量を正確に求められます。ISSでは実際にこの原理で宇宙飛行士の「体質量」を測定しています(Body Mass Measurement Device)。
重さ \(W = mg\) は重力加速度 \(g\) に依存するため場所で変わりますが、質量 \(m\) は物体固有の「動きにくさ」を表す量であり、どこでも一定です。天秤(上皿てんびん)は重力の影響を受けずに質量を比較できる道具です。
物理学では「質量」に2つの側面があります。
実験によると、これら2つの質量は極めて高い精度で等しいことがわかっています。
$$ m_{\text{重力}} = m_{\text{慣性}} $$アインシュタインはこの一致を等価原理として一般相対性理論の基礎に据えました。重力で「重い」物体は慣性でも「動きにくい」のです。