教科書(物理基礎) 問40:静止摩擦力

解法

直感的理解
傾き 30° のあらい斜面上に重さ \(W = 10\;\text{N}\) の物体を置き、斜面に沿って上向きに \(F = 2.0\;\text{N}\) の力で引いて静止させています。物体が静止しているということは、斜面方向の力がつりあっているということです。摩擦力は「物体がすべりそうな方向」と反対向きにはたらき、つりあいの式から大きさが決まります。

斜面方向のつりあい(斜面上向きを正)を立てます。物体に作用する斜面方向の力は:

つりあいの式:

$$ F + f - mg\sin 30° = 0 $$

数値を代入します:

$$ 2.0 + f - 5.0 = 0 $$ $$ f = 5.0 - 2.0 = 3.0\;\text{N} $$

\(f > 0\) なので、摩擦力は斜面上向き(引く力と同じ方向)にはたらきます。重力成分 5.0 N に対して引く力 2.0 N だけでは足りない分を摩擦力が補っています。

答え:静止摩擦力は斜面の上向きに 3.0 N
補足:引く力が大きくなった場合

もし引く力 \(F\) が 5.0 N を超えると、物体は上向きにすべり出そうとするため、摩擦力の向きが斜面下向きに反転します。

引く力が \(F = 5.0\;\text{N}\) のとき:

$$ f = 5.0 - 5.0 = 0\;\text{N} $$

ちょうど引く力と重力成分がつりあい、摩擦力は 0 になります。シミュレーションの F スライダーで確認してみましょう。

Point

静止摩擦力の向きは、物体がすべりそうな方向と反対です。向きを仮定して符号から判断するのが確実な方法です。摩擦力は「必ず運動を妨げる向き」にはたらくのではなく、力のつりあいを保つ向きにはたらきます。