教科書(物理基礎) 類題15:動摩擦力

解法

直感的理解
例題15の逆で、あらい斜面上を物体がすべり上がる場合です。上向きに初速度を与えると、重力の斜面成分(下向き)と動摩擦力(運動と反対=下向き)の両方が減速方向にはたらきます。例題15のすべり下りる場合と比べて、摩擦力の符号が逆になることがポイントです。

すべり上がる場合、動摩擦力は運動と反対(=斜面下向き)にはたらきます。斜面に沿った方向の運動方程式(斜面上向きを正、減速の加速度を \(a\)):

$$ ma = -mg\sin\theta - \mu' mg\cos\theta $$

大きさで書くと(減速の加速度):

$$ a = g(\sin\theta + \mu'\cos\theta) $$

\(\theta = 30°\)、\(\mu' = \dfrac{1}{2\sqrt{3}}\) を代入します:

$$ a = 9.8\left(\frac{1}{2} + \frac{1}{2\sqrt{3}} \times \frac{\sqrt{3}}{2}\right) = 9.8\left(\frac{1}{2} + \frac{1}{4}\right) = 9.8 \times \frac{3}{4} = 7.35 \fallingdotseq 7.4\;\text{m/s}^2 $$

例題15(すべり下り)の加速度 2.5 m/s² と比較すると、すべり上がりは 約3倍の減速 です。

答え:減速の加速度 \(a = g(\sin\theta + \mu'\cos\theta) \fallingdotseq 7.4\;\text{m/s}^2\)
補足:上りと下りの加速度の比較

すべり下り:\(a_{\text{下}} = g(\sin\theta - \mu'\cos\theta) = 2.45\;\text{m/s}^2\)

すべり上がり:\(a_{\text{上}} = g(\sin\theta + \mu'\cos\theta) = 7.35\;\text{m/s}^2\)

比を取ると:

$$ \frac{a_{\text{上}}}{a_{\text{下}}} = \frac{\sin\theta + \mu'\cos\theta}{\sin\theta - \mu'\cos\theta} = \frac{0.5 + 0.25}{0.5 - 0.25} = 3 $$

摩擦力が加速方向と同じ向き(下り)か反対向き(上り)かで大きな差が生まれます。初速度スライダーで停止するまでの時間を比較してみましょう。

Point

動摩擦力は常に運動と反対向きです。上る場合は重力成分と摩擦力が同じ向き(斜面下向き)になり、下る場合は逆向きになります。符号を間違えやすいので、力の向きを図に描いてから運動方程式を立てましょう。