傾き角 \(\theta\) のなめらかな斜面上に質量 \(m\) の物体を置き、水平方向に力 \(F\) を加えて静止させます。斜面からの垂直抗力 \(N\) と合わせて、力のつりあいから \(F\) と \(N\) を求める問題です。
\(mg\) と \(F\) をそれぞれ斜面に平行・垂直に分解します。
斜面に平行な方向(斜面下向きを正):
$$ mg\sin\theta = F\cos\theta $$ここから:
$$ F = mg\tan\theta $$斜面に垂直な方向(斜面から離れる方向を正):
$$ N = mg\cos\theta + F\sin\theta $$\(F = mg\tan\theta\) を代入すると:
$$ N = mg\cos\theta + mg\tan\theta \cdot \sin\theta = mg\cos\theta + \frac{mg\sin^2\theta}{\cos\theta} = \frac{mg}{\cos\theta} $$数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6
数値計算:2.0 × 9.8 = 19.6
水平方向の力 \(F\) は斜面に平行な成分 \(F\cos\theta\) と垂直な成分 \(F\sin\theta\) を持ちます。2つの力を同時に斜面座標に分解するのがこの問題のカギです。
斜面座標ではなく、水平・鉛直方向で力のつりあいを立てることもできます。
水平方向: \(F = N\sin\theta\)
鉛直方向: \(N\cos\theta = mg\)
鉛直方向から \(N = mg / \cos\theta\)、これを水平方向に代入して \(F = mg\tan\theta\)。同じ結果が得られます。
座標軸の選び方は自由ですが、「未知数が少ない方程式になる座標系」を選ぶと計算がラクです。
\(\theta \to 90°\) では \(\tan\theta \to \infty\)、つまり \(F \to \infty\) になります。垂直な壁に物体を水平力だけで押し付けて「静止」させるには無限の力が要る――なめらかな壁では摩擦力がないので滑り落ちてしまうからです。シミュレーションで θ を大きくして確かめてみましょう。