教科書(物理基礎) 演習問題3:2物体の運動方程式

解法の全体像

質量 \(m_A = 0.90\;\text{kg}\) の物体Aがなめらかな斜面(\(\sin\theta = \frac{3}{5}\))上にあり、滑車を介して質量 \(m_B = 0.50\;\text{kg}\) の物体Bとひもでつながれています。(1) どちら向きに動くか、(2) 加速度 \(a\) と張力 \(T\) を求めます。

直感的理解
2つの物体が糸でつながっている問題は、各物体に別々の運動方程式を立てるのが鉄則です。まず「どちらが重い(駆動力が大きい)か」を比べ、動く方向を決めてから式を立てます。糸の張力 \(T\) は中間の力なので、2つの式を連立して消去します。

(1)どちら向きに動くか

Aを斜面方向に引く重力成分とBを引く重力を比較します:

$$ m_A g \sin\theta = 0.90 \times 9.8 \times \frac{3}{5} = 5.29\;\text{N} $$ $$ m_B g = 0.50 \times 9.8 = 4.90\;\text{N} $$

\(m_A g \sin\theta = 5.29\;\text{N} > m_B g = 4.90\;\text{N}\) なので、Aは斜面を下り、Bは上昇する

(2)加速度と張力

Aが斜面を下る方向、Bが上昇する方向を正とします。糸は伸びないので両者の加速度は同じ \(a\) です。

Aの運動方程式(斜面方向):

$$ m_A a = m_A g \sin\theta - T $$ $$ 0.90 a = 5.29 - T \quad \cdots (1) $$

Bの運動方程式(鉛直上向き):

$$ m_B a = T - m_B g $$ $$ 0.50 a = T - 4.90 \quad \cdots (2) $$

(1) + (2) で \(T\) を消去:

$$ (0.90 + 0.50) a = 5.29 - 4.90 $$ $$ 1.40 a = 0.39 $$ $$ a = \frac{0.39}{1.40} \fallingdotseq 0.28\;\text{m/s}^2 $$

(2) に代入して張力:

$$ T = m_B a + m_B g = 0.50 \times 0.28 + 4.90 = 5.04\;\text{N} $$

2物体の運動シミュレーション

答え:(1) Aは斜面を下り、Bは上昇する。(2) \(a \fallingdotseq 0.28\;\text{m/s}^2\)、\(T \fallingdotseq 5.0\;\text{N}\)

数値計算:0.90 × 9.8 = 8.82

数値計算:0.90 × 9.8 = 8.82

📌 ポイント

2物体の運動方程式を解く手順:①動く方向を判断 → ②各物体の運動方程式を立てる → ③式を足して \(T\) を消去 → ④ \(a\) を求め、代入して \(T\) を求める。「足して消す」テクニックを必ず覚えましょう。

📐 別解:全体の運動方程式で \(a\) を一発で求める

系全体を1つの物体とみなすと、糸の張力は内力になるため消えます。外力だけで運動方程式を立てると:

$$ (m_A + m_B) a = m_A g \sin\theta - m_B g $$ $$ a = \frac{m_A g \sin\theta - m_B g}{m_A + m_B} = \frac{5.29 - 4.90}{1.40} \fallingdotseq 0.28\;\text{m/s}^2 $$

この方法は \(a\) を求めるのは速いですが、張力 \(T\) は求まりません。\(T\) が必要なら結局、個別の式に \(a\) を代入します。

❓ sin θ = 3/5 のとき cos θ は?

\(\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1\) より:

$$ \cos\theta = \sqrt{1 - \left(\frac{3}{5}\right)^2} = \sqrt{1 - \frac{9}{25}} = \sqrt{\frac{16}{25}} = \frac{4}{5} $$

3:4:5 の直角三角形の比を覚えておくと、三角比の計算が格段に速くなります。