水平な粗い面に質量 \(m = 5.0\;\text{kg}\) の物体を置き、水平方向に力 \(F\) を徐々に大きくしていきます。\(F = 20\;\text{N}\) で動き出したとき、(1) 動き出す直前の最大静止摩擦力 \(f_0\)、(2) 静止摩擦係数 \(\mu\)、(3) \(F = 8.0\;\text{N}\) のときの静止摩擦力を求めます。
動き出す直前、力のつりあいが成り立っています:
$$ f_0 = F = 20\;\text{N} $$水平面上なので垂直抗力は:
$$ N = mg = 5.0 \times 9.8 = 49\;\text{N} $$静止摩擦係数は:
$$ \mu = \frac{f_0}{N} = \frac{20}{49} \fallingdotseq 0.41 $$物体は静止しているので、静止摩擦力は加える力と同じ大きさ:
$$ f = F = 8.0\;\text{N} $$確認:\(f = 8.0\;\text{N} < f_0 = 20\;\text{N}\) なので、まだ動き出しません。
数値計算:計算すると 20 を得る。
数値計算:計算すると 20 を得る。
静止摩擦力は加える力に応じて変化します。\(f = F\)(つりあい)が成り立つのは \(F \leq f_0\) のときだけ。\(F > f_0\) で動き出すと、摩擦力は動摩擦力 \(f' = \mu' N\) に切り替わり、\(f_0\) より小さくなります。
シミュレーション下部のグラフに注目してください。加える力 \(F\) を横軸、摩擦力 \(f\) を縦軸にとると:
\(f_0\) の点で不連続に下がるのが特徴です。これが「動き出す瞬間にガクッと力が緩む」感覚の正体です。
ミクロに見ると、静止している物体の接触面は微小な凹凸がかみ合って「溶着」しています。動き出すにはこの溶着を破壊する必要があり、大きな力が要ります。
一方、動いている状態では新しい溶着が形成される前に面が滑っていくので、必要な力が小さくなります。一般に \(\mu' < \mu\)(動摩擦係数 < 静止摩擦係数)が成り立ちます。