教科書(物理基礎) 演習問題6:ニュートンの運動の3法則

解法の全体像

ニュートンの運動の3法則に関する問題です。それぞれの法則が「どのような現象を説明するか」を具体例と対応させて判断します。特に第三法則(作用反作用)と力のつりあいの区別が頻出ポイントです。

直感的理解

3法則の具体的な判別

問題で与えられる現象の例と、対応する法則を整理します。

例1:電車が急ブレーキをかけると、乗客が前に倒れそうになる。

→ 乗客の体は慣性で動き続けようとする → 第一法則

例2:同じ力 \(F = 10\;\text{N}\) で質量 \(m_1 = 2\;\text{kg}\) と \(m_2 = 5\;\text{kg}\) の物体を押す。

→ \(a = F/m\) で質量が大きいほど加速度が小さい → 第二法則

$$ a_1 = \frac{F}{m_1} = \frac{10}{2} = 5.0\;\text{m/s}^2 $$ $$ a_2 = \frac{F}{m_2} = \frac{10}{5} = 2.0\;\text{m/s}^2 $$

例3:ロケットが噴射ガスを後方に押し出すと、ロケットは前方に進む。

→ ロケットがガスを押す力の反作用でガスがロケットを押す → 第三法則

$$ \vec{F}_{A \to B} = -\vec{F}_{B \to A} \quad (\text{大きさ同じ、向き反対}) $$

「作用反作用」と「力のつりあい」の違い

最もよく間違えるポイントです。

比較項目 作用反作用 力のつりあい
力がはたらく物体 異なる2物体 同じ1物体
大きさ 常に同じ つりあい時のみ同じ
向き 常に反対 つりあい時のみ反対
成立条件 常に成立 静止 or 等速直線運動時

3法則インタラクティブシミュレーション

⚠️ 要注意!

「机の上の本にはたらく重力と垂直抗力」はつりあいであって作用反作用ではありません。重力の反作用は「本が地球を引く力」、垂直抗力の反作用は「本が机を押す力」です。力がはたらく物体が異なるかどうかで判別しましょう。

数値計算:計算すると 5.0 を得る。

数値計算:計算すると 5.0 を得る。

答え:第一法則=慣性の法則(力なし→運動状態不変)、第二法則=\(F = ma\)(力→加速度)、第三法則=作用反作用(力は必ずペア、異なる物体に逆向き同大)
💡 具体例で3法則を判別する練習

以下の現象がどの法則に対応するか考えてみましょう:

  • 「だるま落とし」で下の段を叩くと上は動かない → 第一法則(上の段は慣性で静止し続ける)
  • 同じエンジンの車でも、荷物を積むと加速が鈍い → 第二法則(\(m\) 増 → \(a\) 減)
  • スケートリンクで向かい合った二人が押し合うと両方後ろに下がる → 第三法則(AがBを押す反作用でBもAを押す)
🔬 発展:なぜ第一法則は第二法則の特殊ケースではないのか

「\(F = 0\) なら \(a = 0\)」は第二法則から導けるように見えます。しかし第一法則は「慣性系の存在を保証する」という独立した役割を持ちます。

第二法則 \(F = ma\) が成り立つのは慣性系(加速していない座標系)に限ります。第一法則は「力がかかっていない物体が等速直線運動する座標系が存在する」ことを宣言しており、第二法則が適用できる舞台を定義しているのです。