教科書(物理基礎) 問A:力学的エネルギー保存則

解法

直感的理解

力学的エネルギー保存則は万能ではありません。「保存力だけが仕事をする」場合にのみ成り立ちます。振り子のように垂直抗力や張力がはたらいても、それらが仕事をしなければ保存則は使えます。一方、摩擦力や空気抵抗が仕事をすると成り立ちません。スイッチで「なめらか」「あらい」を切り替え、エネルギーの変化を比較しましょう。

力学的エネルギー保存則の成立条件:

$$ K + U = \text{一定} \quad (\text{保存力のみが仕事をする場合}) $$

保存力以外の力がはたらく場合は一般化された式を使います。

$$ E_2 - E_1 = W_{\text{非保存力}} $$

具体例で確認:

高さ 2.0 m からなめらかな曲面を質量 1.0 kg の物体が滑り降りる場合、

$$ \frac{1}{2}mv^2 = mgh $$ $$ v = \sqrt{2 \times 9.8 \times 2.0} = \sqrt{39.2} \fallingdotseq 6.3\,\text{m/s} $$

一方、あらい面(\(\mu' = 0.25\))の場合は摩擦の仕事分だけ減少します。

答え:力学的エネルギー保存則が成り立つのは、保存力(重力・弾性力)だけが仕事をするとき。垂直抗力・糸の張力は運動方向に垂直なので仕事をせず、保存則に影響しない。
補足:仕事をしない力の見分け方

力が仕事をするかどうかは「力の方向と移動方向の関係」で判断します。

保存力? 仕事をする?
重力 \(\circ\) する(位置Eに含まれる)
弾性力 \(\circ\) する(弾性Eに含まれる)
垂直抗力 \(\times\) しない(移動と垂直)
糸の張力 \(\times\) しない(移動と垂直)
動摩擦力 \(\times\) する(負の仕事)
$$ W = F \cos\theta \times d $$

\(\theta = 90°\) なら \(\cos 90° = 0\) で仕事ゼロです。

Point

力学的エネルギー保存則は「保存力だけが仕事をする場合」に成り立ちます。非保存力がはたらいても、仕事をしない(移動方向と垂直)なら保存則は使えます。摩擦力は必ず負の仕事をするので、摩擦がある場合は \(E_2 - E_1 = W\) の一般式を使いましょう。