教科書(物理基礎) 演習問題4:自動車の制動距離

解法

直感的理解

ブレーキをかけると運動エネルギーが摩擦力で熱に変わります。運動エネルギーは速さの2乗に比例するので、速さが2倍になると制動距離は4倍に。スライダーで速度を変え、制動距離の変化を体感しましょう。

50 km/h での制動距離が 15 m のとき、各速度での制動距離を求めます。

公式の導出:運動エネルギーがすべて摩擦の仕事に変わるので、

$$ \frac{1}{2}mv^2 = \mu' mg \cdot d $$ $$ d = \frac{v^2}{2\mu' g} $$

動摩擦係数の計算:

50 km/h = 13.9 m/s で \(d = 15\,\text{m}\) なので、

$$ \mu' = \frac{v^2}{2gd} = \frac{13.9^2}{2 \times 9.8 \times 15} = \frac{193}{294} \fallingdotseq 0.66 $$

100 km/h での制動距離:

速さの比 \(\frac{100}{50} = 2\) なので、

$$ d_{100} = d_{50} \times \left(\frac{100}{50}\right)^2 = 15 \times 4 = 60\,\text{m} $$

直接計算でも確認します(100 km/h = 27.8 m/s)。

$$ d = \frac{27.8^2}{2 \times 0.66 \times 9.8} = \frac{773}{12.9} \fallingdotseq 60\,\text{m} \quad \checkmark $$
答え:100 km/h での制動距離 \(d = 60\,\text{m}\)、動摩擦係数 \(\mu' \fallingdotseq 0.66\)
補足:停止距離 = 空走距離 + 制動距離

実際の停止距離は「反応時間中に進む距離(空走距離)」+「ブレーキで止まるまでの距離(制動距離)」です。

$$ d_{\text{空走}} = v \times t_{\text{反応}} $$

反応時間 \(t = 0.7\,\text{s}\) とすると、

速度 空走距離 制動距離 停止距離
50 km/h 9.7 m 15 m 25 m
100 km/h 19 m 60 m 79 m

空走距離は速さに比例(2倍)、制動距離は速さの2乗に比例(4倍)。速度が上がると制動距離の割合が急増します。

Point

制動距離は \(d \propto v^2\) です。速さが2倍で4倍、3倍で9倍になります。制動距離は質量に依存しません(\(m\) が約分される)。空走距離は \(v\) に比例するので、停止距離全体では速さの影響がさらに大きくなります。