100℃の水を100℃の水蒸気に変えるには、温度は変わらないのに大量の熱が必要です。やかんの水が沸騰してからすべて蒸発するまで長い時間がかかるのは、蒸発熱が非常に大きいからです。水の蒸発熱は融解熱の約7倍もあります。
状態変化(液体→気体)に必要な熱量は、蒸発熱(気化熱)を用いて計算します。温度変化を伴わない熱量なので、\(Q = mc\Delta T\) ではなく \(Q = mL\) を使います。
蒸発熱の公式:
$$ Q = mL_v $$計算過程:
$$ Q = mL_v = 30 \times 2.3 \times 10^3 = 6.9 \times 10^4\,\text{J} $$水の場合:
蒸発熱は融解熱の約7倍です。これは、気体になるとき分子間の結合をほぼ完全に断ち切る必要があるからです。氷→水の融解では結合の一部が切れるだけですが、水→水蒸気の蒸発ではすべての分子が自由になります。
蒸発熱を kJ/g に換算してから計算することもできます:
$$ L_v = 2.3 \times 10^3\,\text{J/g} = 2.3\,\text{kJ/g} $$ $$ Q = 30 \times 2.3 = 69\,\text{kJ} = 6.9 \times 10^4\,\text{J} $$状態変化の熱量計算では \(Q = mL\)(潜熱の公式)を使います。温度変化の \(Q = mc\Delta T\) と混同しないこと! 状態変化中は温度が一定のまま熱が使われます。100℃の水蒸気が皮膚に触れるとひどいやけどになるのは、凝縮時にこの大きな蒸発熱が放出されるためです。