0℃の氷に熱を加えても、すぐには温度が上がりません。氷が全部水になるまで温度は0℃のまま――この間に吸収される熱が融解熱です。氷の結晶構造を壊すためにエネルギーが使われるので、温度上昇には回らないのです。
物質の状態変化に必要な熱量は潜熱(latent heat)の公式で求めます。融解(固体→液体)の場合は融解熱 \(L_f\) を使います。
融解熱の公式:
$$ Q = mL_f $$計算過程:
$$ Q = mL_f = 20 \times 3.3 \times 10^2 = 6.6 \times 10^3\,\text{J} $$固体の結晶では、分子が規則正しく配列して結合エネルギーで固定されています。融解ではこの結合を切断してバラバラにする必要があり、加えた熱はすべて結合の切断に使われます。そのため温度(= 分子の運動エネルギーの指標)は上昇せず、一定のままです。
すべての固体が液体に変わった後、再び温度が上昇し始めます。この過程を表したのが加熱曲線(上の図)です。
水の融解熱は \(80\,\text{cal/g}\) とも表されます(1 cal ≒ 4.2 J)。
$$ Q = 20 \times 80 = 1600\,\text{cal} $$ $$ = 1600 \times 4.2 = 6720\,\text{J} \fallingdotseq 6.7 \times 10^3\,\text{J} $$有効数字の違いでわずかにずれますが、ほぼ同じ結果になります。
状態変化の問題で最もよくある間違いは、\(Q = mc\Delta T\) を使ってしまうことです。融解・蒸発では温度変化 \(\Delta T = 0\) なので \(mc\Delta T = 0\) になってしまいます。状態変化には必ず \(Q = mL\)(潜熱の公式)を使いましょう。