類題1:正弦波の進行とグラフ作図

解法

直感的理解
波が「負の向き」に進むということは,波形全体が左にスライドしていくということです。ベルトコンベアの上に描いた波が左に流れていくイメージで考えましょう。進行方向が正・負どちらでも,「形を変えずに平行移動する」という基本は同じです。

この波は $x$ 軸の 負の向き(右から左)に進みます。
下のスライダーで時刻 $t$ を動かして,波形がどのように移動するか確認しましょう。
(点線は $t=0$ の波形,実線は時刻 $t$ の波形を表します)

Point

波の進行方向が負の向きのとき,波形は左にスライドします。移動距離は同じく $v \times t$ で計算できます。

(1) 時刻 $t=3.0\,\text{s}$ での波形

考え方

直感的理解
移動距離 $3.0\,\text{m}$ は波長 $4.0\,\text{m}$ の $\frac{3}{4}$ です。つまり波形は $\frac{3}{4}$ 周期分だけずれたことになります。山・谷・ゼロ点の移動先を先にプロットしてからつなぐと,正確なグラフが描けます。

波は速さ $1.0\,\text{m/s}$ で進みます。
$3.0\,\text{s}$ 間に波が進む距離 $\Delta x$ は,

$$ \Delta x = \text{速さ} \times \text{時間} = 1.0 \times 3.0 = \boldsymbol{3.0\,\text{m}} $$

問題文より「負の向き」に進むので,元のグラフ全体を左($x$ 軸の負の方向)に $3.0\,\text{m}$ 平行移動させます。

作図のポイント:特徴的な点に注目する

これらをつなぐと,原点 $O$ を通り右上がりのサインカーブ($y = A \sin kx$ の形)になります。

答え:
(図示:原点を通り右上がりの正弦波)
Point

作図では,いきなり全体を描こうとせず,山・谷・ゼロ点など特徴的な点の移動先を先に打ってからつなぎましょう。

(2) 元の波形と同じになる最初の時刻 $t_{\mathrm{0}}$

考え方

直感的理解
正弦波は同じパターンが $\lambda$ ごとに繰り返されるので,ちょうど1波長分進むと全く同じ波形に見えます。進行方向が正でも負でも,この「1波長分 = 周期」の関係は変わりません。

「元の波形と同じになる」とは,波がちょうど1波長分(またはその整数倍)進んだときです。
波が1波長分進むのにかかる時間を 周期 $T$ と呼びます。

グラフから,波長(山から山,または波1つ分の長さ)を読み取ります。

$$ \lambda = \boldsymbol{4.0\,\text{m}} $$

波の基本公式 $v = \frac{\lambda}{T}$ より,周期 $T$ を求めます。

答え:
$$ T = \frac{\lambda}{v} = \frac{4.0}{1.0} = \boldsymbol{4.0\,\text{s}} $$ これが,波形が再び重なる「最初の時刻」となります。
よって,$t_{\mathrm{0}} = \boldsymbol{4.0\,\text{s}}$
💡 補足:波の重ね合わせの原理

2つ以上の波が出会うとき、各点の変位はそれぞれの波の変位の和になります(重ね合わせの原理)。

数値計算:3.0 × 4.0 = 12 s

数値計算:3.0 × 4.0 = 12 s

Point

波の進む向きが「負の向き」であっても,平行移動の考え方と周期 $T = \frac{\lambda}{v}$ の公式は全く同じです。問題文の「負の向き」を見落とさないようにしましょう。