演習問題1:波の要素と波形の移動

(1) 波の進む速度

考え方

直感的理解
原点が「上に動く」ということは、波形の左側(負の方向)から山がやってくる必要があります。つまり波は左($-x$ 方向)に進んでいるのです。「波を少しずらして原点の変位の変化を見る」という方法は、進行方向の判定で最も確実なテクニックです。

まずはグラフから波の基本量を読み取ります。 図より,波は $x=0$ から $x=2.0\,\mathrm{m}$ で1つの波形を描いているので,波長は $\lambda = 2.0\,\mathrm{m}$ です。 また,問題文より周期は $T = 0.40\,\mathrm{s}$ です。

波の速さを求めるために,まずは振動数 $f$ を計算します。 $$ f = \frac{1}{T} = \frac{1}{0.40} = 2.5\,\mathrm{Hz} $$ 波の基本公式 $v = f\lambda$ より,波の速さの大きさ $v'$ は, $$ v' = 2.5\,\mathrm{Hz} \times 2.0\,\mathrm{m} = 5.0\,\mathrm{m/s} $$

次に,波の進行方向(速度の符号)を特定します。
問題文には「原点の速度の向きは $y$ 軸の正の向き(上向き)」とあります。 下のシミュレーションで,波を左右に少し動かして,原点の動きを確認してみましょう。

シミュレーションで確認できるように,波を左(負の向き)にずらしたとき,原点の媒質は上に動きます。 よって,波の進む速度は負の向きとなります。

条件:波長 2.0 m、周期 0.40 s、振幅 0.25 m、速さ 5.0 m/s。

角振動数と波の式:

$$\omega = 2\pi f = 2\pi \times 2.5 = 5\pi\,\text{rad/s} \fallingdotseq 15.7\,\text{rad/s}$$ $$k = \frac{2\pi}{\lambda} = \frac{2\pi}{2.0} = \pi\,\text{rad/m}$$

波が $-x$ 方向に進むので、$y = A\sin(kx + \omega t) = 0.25\sin(\pi x + 5\pi t)$〔m〕

📐 媒質の速度の計算

$x = 0$ での媒質の速度は $v_y = \partial y/\partial t = A\omega\cos(\omega t)$ です。

$t = 0$ のとき $v_y = 0.25 \times 5\pi \times \cos(0) = 0.25 \times 15.7 = 3.93\,\text{m/s}$(上向き)。

最大速度は $v_{y,\max} = A\omega = 0.25 \times 5\pi = 3.93\,\text{m/s}$ です。

答え:
$$v = -5.0\,\mathrm{m/s}$$($-x$ 方向に $5.0\,\text{m/s}$)
Point

波の進行方向の判定:「原点が上に動く」→ 波形を左にずらしたとき原点が上がる → 波は $-x$ 方向に進む。速度の符号を忘れずに。

(2) $t=0.70\,\mathrm{s}$ での波形

考え方

直感的理解
波形の移動で大事なのは「周期の整数倍は無視できる」ということです。$t = 0.70$ s は $T + \frac{3}{4}T$ なので、1周期分は元に戻り、実質 $\frac{3}{4}T = 0.30$ s 分だけ左にずらした波形が答えです。移動距離は $5.0 \times 0.30 = 1.5$ m です。

波形の移動は,時間の経過分だけ平行移動させて考えます。
経過時間 $t = 0.70\,\mathrm{s}$ と周期 $T = 0.40\,\mathrm{s}$ の関係を調べます。 $$ t = 0.70 = 0.40 \times 1 + 0.30 = T + \frac{3}{4}T $$ 波形は1周期 $T$ ごとに元の形に戻るため,残りの $\frac{3}{4}T$(0.30秒)分の移動を考えれば十分です。
波は左に速さ $5.0\,\mathrm{m/s}$ で進むので,波形全体を左方向へ移動させます。

答え:
上のシミュレーションで「再生」を押して $t=0.70\,\mathrm{s}$ で止まったときの赤線の波形。
(原点で $y=-0.25\,\mathrm{m}$ の谷となり, $x=1.0\,\mathrm{m}$ で $y=0.25\,\mathrm{m}$ の山となる正弦波)
Point

時間の経過による波形の移動:周期 $T$ の整数倍は元に戻るので無視し、余りの時間分だけ波の進行方向に $v \Delta t$ だけ平行移動させればよい。