教科書(物理基礎) 演習問題3:正弦波の反射

解法の全体像

直感的理解
自由端反射では入射波と反射波が同じ位相で重なり合い、定在波を作ります。定在波は「進まない波」で、各点がその場で振動するだけです。自由端は最も大きく振動する「腹」になり、そこから $\lambda/4$ ごとに全く動かない「節」が現れます。

この問題は、原点から $+x$ 方向に進む正弦波(入射波)が $x = 8.0\,\mathrm{m}$ の自由端で反射し、 定在波(定常波)を形成する状況を扱います。

入射波・反射波・合成波のシミュレーション

入射波(青)・反射波(緑破線)・合成波(赤太線)の時間変化を確認できます。 「図の瞬間」ボタンで問題の図に対応する瞬間(合成波がゼロになる瞬間)に移動します。

Point

自由端反射では位相が変わらない(上下反転なし)。入射波と反射波を重ね合わせると定在波が形成される。

(1) 図の瞬間に観察される合成波の波形

自由端反射の作図手順

自由端反射では、次の手順で反射波を求めます:

  1. 延長する:壁がないと仮定して、入射波を壁の向こう側($x > 8.0$)にそのまま延長する。
  2. 折り返す:延長した部分を $x = 8.0$(自由端)を対称軸として線対称に折り返す。自由端では上下反転しない
  3. 重ね合わせ:入射波と反射波の変位を各点で足し合わせる。

この瞬間の反射波を図から求める

直感的理解
合成波がゼロになる瞬間は、定在波が「平衡位置を通過する瞬間」です。ブランコが最も速く動いている最下点に相当します。変位はゼロですが、すべてのエネルギーは運動エネルギーとして蓄えられています。この直後、波形は再び大きく変位します。

まず、図から入射波の各点の変位を読み取ります。

$x$ [m] 01.02.03.04.05.06.07.08.0
入射波 0+0.100−0.100+0.100−0.100

Step 1:壁の向こうに延長する

入射波をそのまま $x > 8.0$ に延長します。波形はそのまま正弦波が続くので:

Step 2:$x = 8.0$ で折り返す(自由端 → 上下反転なし)

延長した各点を $x = 8.0$ を対称軸にして折り返します。折り返し先は「$x = 16 - x_{\text{元}}$」です。

$x$ [m] 01.02.03.04.05.06.07.08.0
入射波 0+0.100−0.100+0.100−0.100
反射波 0−0.100+0.100−0.100+0.100
合成波 000000000

Step 3:重ね合わせ

各点で入射波と反射波の変位を足し合わせると、すべての点で変位が打ち消し合い、合成波は $y = 0$ になることがわかります。

これは定在波がつりあいの位置を通過する瞬間に対応しています。この瞬間、すべての媒質がちょうど平衡位置にあります。

補足:別解(三角関数による導出)

入射波を $y_{\mathrm{i}}(x) = 0.10\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}x\right)$ と表すと、 自由端($x = 8.0$)で折り返した反射波は $y_{\mathrm{r}}(x) = 0.10\sin\!\left(\dfrac{\pi}{2}(16 - x)\right)$ です。 三角関数の公式 $\sin(8\pi - \theta) = -\sin\theta$ を使うと、 $$y_{\mathrm{r}}(x) = 0.10\sin\!\left(8\pi - \frac{\pi}{2}x\right) = -0.10\sin\!\left(\frac{\pi}{2}x\right)$$ よって $y = y_{\mathrm{i}} + y_{\mathrm{r}} = 0.10\sin\!\left(\frac{\pi}{2}x\right) - 0.10\sin\!\left(\frac{\pi}{2}x\right) = 0$

反射波の作図(ステップ表示)

ボタンで作図の各ステップを確認できます。

答え (1):
合成波は全区間で $y = 0$($x$ 軸上の直線)。
この瞬間、定在波はつりあいの位置を通過しており、すべての点で変位がゼロである。
Point

この瞬間は定在波が平衡位置を通過するタイミング。入射波と反射波が全区間で打ち消し合い、合成波の変位はゼロになる。

(2) 定在波の節の位置($0 \leq x \leq 8.0$ m)

自由端から腹・節を数える(図的解法)

直感的理解
自由端は「腹」、そこから $\lambda/4 = 1.0$ m ずつ数えていくだけです。自由端から数えて奇数番目(1, 3, 5, 7 m)が節、偶数番目(0, 2, 4, 6, 8 m)が腹になります。節は「一切動かない点」、腹は「最大限に動く点」です。

定在波の節の位置は、自由端の性質波長だけで求められます。三角関数の式は不要です。

ルール

波長 $\lambda = 4.0$ m なので、$\dfrac{\lambda}{4} = 1.0$ m です。 自由端 $x = 8.0$ m(腹)から原点に向かって $1.0$ m ごとに「腹 → 節 → 腹 → 節 → …」と数えていきます:

$x$ [m] 8.07.06.05.04.03.02.01.00
腹 or 節

したがって、の位置は $x = 1.0,\;3.0,\;5.0,\;7.0$ m です。

補足:別解(三角関数による定在波の式からの導出)

入射波と反射波を式で表すと、 $y_{\mathrm{i}} = A\sin(kx - \omega t)$、$y_{\mathrm{r}} = A\sin(2kL - kx - \omega t)$

和積の公式を適用すると、定在波の式 $$y = 2A\cos\!\bigl(k(x - L)\bigr)\,\sin(kL - \omega t)$$ が得られます。節は $\cos\!\bigl(k(x - L)\bigr) = 0$ となる位置で、$k = \frac{\pi}{2}$、$L = 8.0$ を代入すると $\frac{\pi}{2}(x - 8) = \pm\frac{\pi}{2},\;\pm\frac{3\pi}{2},\;\cdots$ より $x = 7,\;5,\;3,\;1$ m が得られます。

定在波のシミュレーション

定在波の振動を時間変化とともに確認できます。(黒丸)は常に変位ゼロ、では振幅が最大($2A = 0.20$ m)になります。

答え (2):
節の位置は $x = 1.0\,\mathrm{m},\;3.0\,\mathrm{m},\;5.0\,\mathrm{m},\;7.0\,\mathrm{m}$
Point

自由端(腹)から $\lambda/4 = 1.0$ m ごとに節と腹が交互に並ぶ。節の位置は $x = 1.0, 3.0, 5.0, 7.0$ m。

(3) 自由端で変位が正で最大になる時間間隔

周期の計算

波の速さ $v = 10\,\mathrm{m/s}$、波長 $\lambda = 4.0\,\mathrm{m}$ より、周期は $$T = \frac{\lambda}{v} = \frac{4.0}{10} = 0.40\,\mathrm{s}$$

自由端での振動

直感的理解
自由端は定在波の腹なので、まるで上下に単振動するバネのように動きます。1周期 $T$ の間に正の最大値に達するのは1回だけ。したがって「正で最大になる時間間隔」はそのまま周期 $T$ に等しくなります。

自由端($x = 8.0$ m)は定在波のなので、振幅は最大の $2A = 0.20\,\mathrm{m}$ です。 腹の各点は周期 $T$ で単振動します。

1周期の間に、変位は「$0 \to +0.20 \to 0 \to -0.20 \to 0$」と変化します。
つまり、変位が正で最大($+0.20$ m)になるのは $T = 0.40$ s ごとに1回です。

補足:別解(定在波の式による確認)

定在波の式 $y = 2A\cos\!\bigl(k(x - L)\bigr)\sin(kL - \omega t)$ に $x = 8.0$ を代入すると、 $y(8,\,t) = 0.20\,\sin(4\pi - \omega t)$。 これは角振動数 $\omega = \frac{2\pi}{T}$ の正弦関数で、正の最大値は $T = 0.40$ s ごとに1回現れます。

自由端の変位の時間変化

$x = 8.0$ m(自由端)における $y$-$t$ グラフです。$T = 0.40$ s ごとに変位が正の最大値 $+0.20$ m に達します。

答え (3):
$T = \dfrac{\lambda}{v} = \dfrac{4.0}{10} = 0.40\,\mathrm{s}$ ごと

数値計算:計算すると 0.10 を得る。

数値計算:計算すると 0.10 を得る。

Point

定在波の腹は周期 $T = \lambda / v$ で単振動する。正の最大値に達するのは $T$ ごとに1回。自由端反射では壁が腹、固定端反射では壁が節になることを常に意識する。