教科書(物理基礎) 演習問題1:弦の振動

(1) 弦を伝わる横波の波長 $\lambda$ [m]

直感的理解
弦をだんだん長くしていくと、ある長さごとに「ブルンッ」と大きく振動する瞬間(共振)が訪れます。隣り合う共振の長さの差は、ちょうど定常波の「腹―節―腹」1セット分(半波長)に対応しています。つまり、共振する長さの差を測るだけで波長がわかるのです。

考え方

AB間の弦の長さを $R$ とします。おんさAとこまBはともに弦を固定するので,AB間は「両端固定」の弦です。
両端固定の弦にできる定常波では,弦の長さ $L$ が半波長の整数倍のとき共振します。 $$ L = n\cdot\frac{\lambda}{2} \quad (n=1,\,2,\,3,\,\cdots) $$

したがって,

BをAからCへ向かってゆっくり移動させると,最初に共振するのは ある整数 $n$ のときで,$R=x$ です。 さらに B を C 側へ移動させて次に共振するのは $n+1$ のとき,$R=y$ です。

2回目と1回目の長さの差をとると,$n$ の値によらず $$ y - x = (n+1)\cdot\frac{\lambda}{2} - n\cdot\frac{\lambda}{2} = \frac{\lambda}{2} $$ よって,波長は $$ \lambda = 2(y - x) $$

答え (1):
$\lambda = 2(y-x)\,\mathrm{[m]}$
Point

両端固定の弦では、隣り合う共振の長さの差が $\dfrac{\lambda}{2}$ になる。よって $\lambda = 2 \times (\text{隣り合う共振長の差})$ で波長が求まる。

(2) 弦を伝わる波の速さ $v$ [m/s]

直感的理解
おんさが1秒間に $f$ 回振動し、その振動が波長 $\lambda$ の波として弦を伝わるのだから、波の速さは「1回の振動で波長分だけ進む」ことから $v = f\lambda$ です。波長がわかれば、振動数を掛けるだけで速さが出ます。

考え方

問題文より,おんさと弦は同じ振動数 $f$ [Hz] で振動しています。波の基本公式 $$ v = f\lambda $$ に,(1)で求めた $\lambda = 2(y-x)$ を代入すると, $$ v = f \times 2(y-x) = 2f(y-x) $$

数値例:おんさの振動数 $f = 440$ Hz、1回目の共振 $x = 0.15$ m、2回目の共振 $y = 0.53$ m のとき:

$$\lambda = 2(0.53 - 0.15) = 2 \times 0.38 = 0.76 \text{ m}$$ $$v = 440 \times 0.76 = 3.3 \times 10^{2} \text{ m/s}$$
答え (2):
$v = 2f(y-x)\,\mathrm{[m/s]}$
💡 別解:共振回数から直接求める方法

1回目の共振が $n$ 倍振動だとわかっている場合は、$x = n \cdot \lambda / 2$ から直接 $\lambda$ を求めることもできます。

例えば、1回目が3倍振動($n = 3$)で $x = 0.15$ m なら:

$$\lambda = \frac{2x}{n} = \frac{2 \times 0.15}{3} = 0.10 \text{ m}$$

ただし $n$ の値が不明な場合は、隣り合う共振の差 $y - x = \lambda/2$ を使う方法がより一般的です。

Point

$v = f\lambda$ に (1) で求めた波長を代入するだけで速さが出る。弦の張力や線密度が変わらなければ速さは一定であることも押さえておく。