この問題は、水を入れた円筒管(閉管)の気柱の共鳴実験から、音の速さ $V$ と開口端補正 $\Delta l$ を求めるものです。
おんさと水の入った円筒管の実験装置を再現しています。スライダーで水面の位置を変えると、管口から水面までの距離(気柱の長さ)が変化します。共鳴位置(13.6 cm、42.6 cm)で定常波が大きく振動する様子を確認してください。
円筒管の上端(管口)は開口端(腹)、水面は閉端(節)です。したがってこの管は閉管として振る舞います。
閉管の共鳴条件は、開口端補正 $\Delta l$ を含めて $$ l + \Delta l = \frac{(2m - 1)\lambda}{4} \quad (m = 1,\,2,\,3,\,\cdots) $$ と書けます。ここで $l$ は管口から水面までの距離、$\lambda$ は音の波長です。
1回目の共鳴($m = m_0$ とする)と2回目の共鳴($m = m_0 + 1$)について
② − ① をとると、$\Delta l$ が消えて $$ l_2 - l_1 = \frac{\lambda}{2} $$
数値を代入すると $$ \frac{\lambda}{2} = 42.6 - 13.6 = 29.0 \text{ cm} $$ $$ \lambda = 58.0 \text{ cm} = 0.580 \text{ m} $$
波の基本公式 $V = f\lambda$ より $$ V = 6.00 \times 10^2 \times 0.580 = 3.48 \times 10^2 \text{ m/s} $$
隣り合う共鳴の気柱長の差 $l_2 - l_1 = \dfrac{\lambda}{2}$ は開口端補正に無関係。差から波長を求め、$V = f\lambda$ で音速を計算する。
開口端補正とは、管口の外側に腹の位置が少しはみ出すことによる補正量です。開口端の腹は、管口ちょうどではなく管口の外側に $\Delta l$ だけずれた位置にあります。
1回目の共鳴では、管口から水面までに$\dfrac{\lambda}{4}$ の定常波(開口端=腹、閉端=節)がぴったり収まっています。このとき、有効な気柱の長さは管口から水面までの距離 $l_1$ に開口端補正 $\Delta l$ を加えたものです。 $$ l_1 + \Delta l = \frac{\lambda}{4} $$
したがって $$ \Delta l = \frac{\lambda}{4} - l_1 $$
(1) で求めた $\lambda = 58.0$ cm を代入すると $$ \Delta l = \frac{58.0}{4} - 13.6 = 14.5 - 13.6 = 0.9 \text{ cm} $$
2回目の共鳴条件 $l_2 + \Delta l = \dfrac{3\lambda}{4}$ を確認してみます。 $$ l_2 + \Delta l = 42.6 + 0.9 = 43.5 \text{ cm} $$ $$ \frac{3\lambda}{4} = \frac{3 \times 58.0}{4} = 43.5 \text{ cm} $$ 一致するので、$\Delta l = 0.9$ cm は正しいことが確認できました。
開口端補正 $\Delta l$ は管の半径 $R$ にほぼ比例し、理論的には $\Delta l \fallingdotseq 0.6R$ が成り立つことが知られています(無フランジの場合)。
本問で $\Delta l = 0.9$ cm なので、管の内径は $2R \fallingdotseq 2 \times \dfrac{0.9}{0.6} = 3.0$ cm 程度と推定できます。管が太いほど開口端補正は大きくなるため、精密な実験では管の直径にも注意が必要です。
なお、$l_2 - l_1 = \dfrac{\lambda}{2}$ の関係を使えば $\Delta l$ を含まずに波長が求まるため、開口端補正の値が未知でも音速を正確に測定できる点が、この実験方法の優れた点です。
$\Delta l = \dfrac{\lambda}{4} - l_1$ で求める。求めた値は2回目の共鳴条件 $l_2 + \Delta l = \dfrac{3\lambda}{4}$ で検算するとミスを防げる。