教科書(物理基礎) 問1:帯電と電荷

解法

直感的理解
冬にドアノブを触ると「バチッ」とくる静電気。これは摩擦で電子が移動し、体が帯電しているから起こります。電荷にはの2種類があり、同種は反発、異種は引き合います。電子を失うと正に帯電、得ると負に帯電します。

帯電のしくみ(シミュレーション)

摩擦帯電では、物体間で電子が移動します。電荷が新たに「生まれる」のではなく、移動するだけです。

電荷の種類と力

電荷には2種類あります:

電荷間にはたらく力(クーロン力):

$$ \text{同種の電荷} \longrightarrow \text{反発(斥力)} $$ $$ \text{異種の電荷} \longrightarrow \text{引力} $$

電気量の単位はクーロン〔C〕で、電子1個の電荷の大きさ(電気素量)は:

$$ e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C} $$

具体的な計算例:電子が \(5.0 \times 10^{13}\) 個移動したときの電気量は

$$ Q = ne = 5.0 \times 10^{13} \times 1.6 \times 10^{-19} = 8.0 \times 10^{-6}\,\text{C} = 8.0\,\mu\text{C} $$

逆に、\(Q = 3.2 \times 10^{-7}\) C の電荷が移動したとき、移動した電子の個数は:

$$ n = \frac{Q}{e} = \frac{3.2 \times 10^{-7}}{1.6 \times 10^{-19}} = 2.0 \times 10^{12} \text{ 個} $$

クーロン力の例:2つの帯電体の電荷がそれぞれ $q_1 = +3.0 \times 10^{-6}$ C、$q_2 = -2.0 \times 10^{-6}$ C で、距離 $r = 0.30$ m 離れているとき、クーロンの法則より:

$$ F = k_0 \frac{|q_1||q_2|}{r^2} = 9.0 \times 10^9 \times \frac{3.0 \times 10^{-6} \times 2.0 \times 10^{-6}}{(0.30)^2} $$ $$ = 9.0 \times 10^9 \times \frac{6.0 \times 10^{-12}}{0.090} = 0.60\,\text{N} $$

(異種電荷なので引力がはたらく)

答え:
電荷には正電荷負電荷の2種類がある。同種は反発し合い、異種は引き合う。帯電は電子の移動によって起こり、電気量は保存される。
補足:静電誘導と誘電分極

帯電体を近づけると、導体では静電誘導、絶縁体では誘電分極が起こります。

  • 静電誘導:導体中の自由電子が移動して、帯電体に近い側に異種の電荷、遠い側に同種の電荷が現れる
  • 誘電分極:絶縁体の分子内で電荷の偏りが生じる

どちらの場合も、帯電体と物体の間には引力が生じます。これが下敷きで髪の毛が逆立つ原因です。

別解:帯電列から帯電の正負を判断する方法

物質を「電子を失いやすい順」に並べた表を帯電列といいます:

(+)毛皮 → ガラス → 絹 → 金属 → ゴム → 塩化ビニル(−)

左の物質と右の物質をこすると、左が正、右が負に帯電します。例えば「ガラス+絹」ではガラスが正に帯電します。

Point

帯電は電子の移動によって起こります。電子を失うと正に帯電、得ると負に帯電。電荷が新しく「作られる」わけではありません(電気量保存の法則)。正と負を混同しないよう、「電子が去る → 正」と覚えましょう。