教科書(物理基礎) 問1:電気量と電素量

解法

直感的理解
お金の最小単位が1円であるように、電気量にも最小単位があります。それが電子1個分の電荷の大きさ \(e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\)(電気素量)です。すべての電気量はこの \(e\) の整数倍になります。

原子と電荷(シミュレーション)

電気素量と電気量

原子は原子核(陽子+中性子)と電子からなります。

帯電体の電気量は必ず \(e\) の整数倍です:

$$ Q = ne \quad (n = 0, \pm 1, \pm 2, \ldots) $$

具体的な計算例:銅片から電子が \(3.0 \times 10^{10}\) 個失われたとき、銅片の電気量は

$$ Q = +ne = +3.0 \times 10^{10} \times 1.6 \times 10^{-19} = +4.8 \times 10^{-9}\,\text{C} = +4.8\,\text{nC} $$

逆に、電気量 \(Q = -8.0 \times 10^{-19}\,\text{C}\) の物体がもつ余分な電子の数は

$$ n = \frac{|Q|}{e} = \frac{8.0 \times 10^{-19}}{1.6 \times 10^{-19}} = 5\,\text{個} $$
答え:
電気量 \(Q\) は電気素量 \(e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\) の整数倍であり、\(Q = ne\) で計算する。中性原子では陽子数=電子数なので電気量は0。
補足:ミリカンの油滴実験

1909年、アメリカの物理学者ミリカンは、帯電した油滴を電場で浮遊させる実験を行い、電荷が常に \(1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\) の整数倍であることを確かめました。

測定された電荷の値は \(1.6, 3.2, 4.8, 6.4 \ldots \times 10^{-19}\,\text{C}\) と、すべて \(e\) の倍数であり、電荷が「量子化」されていることが証明されました。

発展:クォークの電荷

陽子や中性子はクォークという素粒子からできています。

  • アップクォーク(u):電荷 \(+\frac{2}{3}e\)
  • ダウンクォーク(d):電荷 \(-\frac{1}{3}e\)

陽子 = uud → 電荷 \(+\frac{2}{3}+\frac{2}{3}-\frac{1}{3} = +1e\)、中性子 = udd → 電荷 \(+\frac{2}{3}-\frac{1}{3}-\frac{1}{3} = 0\) となり、整合します。ただしクォークは単独で取り出せないため、観測される最小電荷は \(e\) です。

この問題の計算:電子 $2.0 \times 10^{19}$ 個が持つ電気量は:

$$Q = ne = 2.0 \times 10^{19} \times 1.6 \times 10^{-19} = 3.2 \text{ C}$$

電流 $I$ [A] で $t$ [s] 間に流れる電気量は $Q = It$ なので、$I = 0.40$ A、$t = 8.0$ s のとき:

$$Q = 0.40 \times 8.0 = 3.2 \text{ C}$$

両者が一致し、$3.20$ C が答え。

Point

電気量は連続量ではなく、\(e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}\) の整数倍しか存在しません。「電子何個分か」を求める問題では \(n = Q/e\) を計算します。中性原子は陽子数=電子数なので電気的に中性です。