教科書(物理基礎) 問14:変圧器と交流

解法

直感的理解
家庭のコンセントは「100 V」ですが,実際の電圧は \(-141\) V から \(+141\) V まで毎秒50回(東日本)振動しています。100 V は「実効値」で,直流の 100 V と同じ発熱効果を持つ値です。最大値の \(1/\sqrt{2}\) 倍です。

スライダーで最大値 \(V_0\) と周波数 \(f\) を変えてください。赤い曲線が交流電圧 \(v = V_0 \sin(2\pi ft)\),青い点線が実効値 \(V_e\) です。「変圧器ON/OFF」で巻数比による変圧計算も表示されます。

交流の実効値

交流の最大値 \(V_0\), \(I_0\) と実効値 \(V_e\), \(I_e\) の関係:

$$ V_e = \frac{V_0}{\sqrt{2}}, \quad I_e = \frac{I_0}{\sqrt{2}} $$

変圧器の原理

一次コイル(巻数 \(N_1\))と二次コイル(巻数 \(N_2\))の電圧の比は巻数の比に等しい:

$$ \frac{V_1}{V_2} = \frac{N_1}{N_2} $$

理想変圧器ではエネルギーが保存されるので \(V_1 I_1 = V_2 I_2\)。

具体的な計算例

最大値 \(V_0 = 141\) V の交流の実効値は

$$ V_e = \frac{141}{\sqrt{2}} = \frac{141}{1.414} \fallingdotseq 100 \text{ V} $$

この交流を巻数比 \(N_1 : N_2 = 10 : 1\) の変圧器に入力すると,二次側の電圧は

$$ V_2 = V_1 \times \frac{N_2}{N_1} = 100 \times \frac{1}{10} = 10 \text{ V} $$
答え:
実効値 \(V_e = V_0/\sqrt{2}\)。\(V_0 = 141\) V のとき \(V_e \fallingdotseq 100\) V。変圧器は \(V_1 : V_2 = N_1 : N_2\)。
補足:なぜ実効値は最大値の \(1/\sqrt{2}\) 倍なのか

交流の瞬時電力を1周期で平均すると

$$ \overline{P} = \overline{\frac{v^2}{R}} = \frac{V_0^2}{R}\overline{\sin^2(\omega t)} = \frac{V_0^2}{2R} $$

これが直流の電力 \(P_{DC} = V_e^2 / R\) と等しいので

$$ \frac{V_e^2}{R} = \frac{V_0^2}{2R} \quad \Rightarrow \quad V_e = \frac{V_0}{\sqrt{2}} $$

\(\sin^2\) の平均値が \(1/2\) であることがポイントです。

Point

交流の実効値は直流に換算した等価な値。\(V_e = V_0/\sqrt{2} \fallingdotseq 0.707 V_0\)。変圧器は交流の電圧を巻数比で変換でき,これが高圧送電の基盤技術です。