物理 > 動く解説 > 力学|公式の使いどころ
問題を読んで、力学的エネルギー保存を使っていいのかで手が止まることがあります。見るところは 1 つだけです。仕事をする力が保存力(重力・ばねの弾性力)だけかどうか。面が押す力(垂直抗力)や糸の張力は、進む向きと垂直なので仕事が 0。あっても使えます。じゃまをするのは摩擦と空気抵抗だけで、それも「減った分=摩擦の仕事」と書けば解けます。
下の図は、なめらかな U 字のトラックです。「摩擦 OFF/ON」を押すと、\(E\) の棒が動かない場合と、減って熱に変わる場合を見比べられます。「初期高さ」を変えると、反対側で上がる高さも変わります。
問題を読んで、力学的エネルギー保存を使っていいのかで止まることがあります。
見るところは 1 つだけです。仕事をする力が、重力やばねの弾性力(保存力)だけか。そうなら使えます。
面が押す力(垂直抗力)や糸の張力は、進む向きと垂直なので仕事が 0 です。仕事が 0 の力は \(K\) を変えないので、あっても保存則は使えます。
だから、図のように曲がった面をすべる運動でも使えます。面はいつでも進む向きと垂直に押しているからです。
じゃまをするのは摩擦と空気抵抗だけです。この 2 つは進む向きと逆に力をはたらかせるので、仕事が 0 になりません。
なぜ「仕事をする力」で決まるのか。エネルギーの棒で見ていきます。
使う考え方:力学的エネルギー保存則・仕事・摩擦・力学・物理基礎
なぜ「仕事をする力」で決まるのかを、仕事と運動エネルギーの関係から 1 本の式で押さえ、そのあと問題文のどの言葉を見るかに落とします。
運動エネルギーを変えるのは、仕事をする力だけです。
$$ \Delta K = W $$
これを①式とします(仕事と運動エネルギーの関係)。
重力がした仕事は、位置エネルギーの減った分とちょうど同じです。
$$ W = -\Delta U $$
2 つを合わせると \(\Delta K + \Delta U = 0\)。つまり \(K + U\) は変わらない——これが力学的エネルギー保存です。
面が押す力(垂直抗力)は進む向きと垂直で \(W = 0\) なので、この式にまったく入ってきません。糸の張力も同じです。
条件が分かったら、あとは問題文のどの言葉を見るかです。
「なめらかな」「摩擦は無視できる」と書いてあれば、そのまま使えます。
「あらい」「空気抵抗がある」と書いてあれば、そのままでは使えません。力学的エネルギーは減っていきます。
図で摩擦を ON にすると、\(E\) の棒が落ちていき、減った分だけ熱の棒が伸びます。反対側では、はじめの高さまで上がりません。
条件が分かったら、いちばん多い思い違いで試しておきます。答えを見る前に、自分ならどう答えるかを決めてから読んでください。
ここで 1 つ確かめます。あらい面(摩擦がある)の問題では、エネルギーの話はもう使えないのでしょうか。
答えはいいえです。減った力学的エネルギーは消えたのではなく、そのまま摩擦の仕事(熱)になっています。
動摩擦力の大きさを \(f\)、すべった道のりを \(s\) とすると、
$$ \frac12 m v^2 + mgh \;=\; \left(\frac12 m v^2 + mgh\right)_{\text{はじめ}} - f s $$
①式(\(\Delta K = W\))をそのまま使っているだけです。摩擦があっても、エネルギーの話は終わらない——これがこの動画のいちばんの持ち帰りです。
$$ E_{\text{後}} = E_{\text{前}} - f s $$
仕事をする力が、重力やばねの弾性力(保存力)だけ。
これが力学的エネルギー保存を使える条件です。垂直抗力・張力は仕事が 0 なので、あってもかまいません。
答案では、「なめらかなので、力学的エネルギー保存より」と 1 行書いてから、前と後ろの \(\dfrac12 m v^2 + mgh\) を並べます。
摩擦があるときは、そこから \(f s\) を引くだけです。使えないのではなく、1 つ項が増えるだけだと思ってください。