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中心から A/2 までは T/12

🎯 1. この解説でわかること

単振動で、中心から端までにかかる時間は 4 分の 1 周期です。では、その途中にある「中心から振幅の半分まで」は何秒でしょうか。距離が半分なのだから時間も半分、と答えたくなりますが、そうはなりません。単振動は場所によって速さが変わる運動で、中心を通るときがいちばん速く、端に近づくほど遅くなるからです。このページでは、単振動を等速円運動の影として置き直し、時間を距離ではなく角で読む手順を身につけます。

下の図は、半径 \(A\) の円を一定の速さで回る点 \(\mathrm{P}\) です。\(\mathrm{P}\) の高さが、そのまま単振動の変位 \(x\) になります。[単振動の物体]を押すと左にばね振り子が現れ、\(\mathrm{P}\) といつも同じ高さにいることが点線で確かめられます(おもりの横に出る[速度][力][加速度]は、\(\mathrm{P}\) のベクトルの鉛直成分です)。[スクリーンに影]で横から光を当てれば、影の動きがそのまま単振動になります。視点は[正面]で円運動、[真横]で単振動に見えます。[速さ]を下げてゆっくり回し、左上に出る角 \(\theta\) と変位 \(x\) を見比べてください。中心の近くでは \(\theta\) が少し進むだけで \(x\) が大きく動き、端の近くでは \(\theta\) が進んでも \(x\) はほとんど動きません。これが「距離が半分でも時間は半分にならない」正体です。

周期 \(T = 1.2\)〔s〕で単振動している物体があります。振幅(中心から端までの距離)を \(A\) とします。

中心から端まで、つまり変位が \(0\) から \(A\) になるまでにかかる時間は 4 分の 1 周期です。$$ \frac{T}{4} = \frac{1.2}{4} = 0.30\ \text{s} $$

では、中心から振幅の半分、変位が \(\dfrac{A}{2}\) になるところまでは何秒でしょうか。距離が半分なのだから時間も半分で \(0.15\)〔s〕、と答えたくなります。

ところが、正しくは \(0.10\)〔s〕です。

これは周期の 12 分の 1 にあたります。$$ \frac{T}{12} = \frac{1.2}{12} = 0.10\ \text{s} $$

距離が半分でも、時間は半分になりません。単振動は場所によって速さが変わる運動で、中心を通るときが最も速く、端では速さが \(0\) になるからです。

使う考え方:単振動・円運動・力学・位相

📐 2. 解説

ここからが本題です。道すじは 2 段階あります。まず単振動を等速円運動の影として置き直し、変位を角の式 \(x = A\sin\omega t\) にします。次にその式へ \(x = \dfrac{A}{2}\) を代入して、先に角を求めてから時間に直します。「距離では読まず、角で読む」という 1 つの見方を、この 2 段階で形にします。

① 円に置き換える

① 円に置き換えるの場面

なぜ半分にならないのかを見ていきます。カギは、単振動を別の運動の影として見直すことです。

単振動は、等速円運動を真横から見た影です。半径 \(A\) の円を一定の速さで回る点 \(\mathrm{P}\) を考えると、\(\mathrm{P}\) の高さがそのまま単振動の変位 \(x\) になります。

等速円運動では回る速さが一定なので、回った角 \(\theta\) は時間に比例します。1 秒あたりに回る角を \(\omega\)〔rad/s〕とすると、

$$ \theta = \omega t $$

1 周は \(2\pi\)〔rad〕で、それを 1 周期 \(T\) かけて回ります。だから \(\omega\) は周期で書けます。

$$ \omega = \frac{2\pi}{T} $$

半径 \(A\)、角 \(\theta\) の点の高さは \(A\sin\theta\) です。ここに \(\theta = \omega t\) を入れると、変位 \(x\) が時間だけの式になります。ただしこれは \(t = 0\) を中心(\(x = 0\))に取ったときの形で、端から測る問題では \(\cos\) になります。まとめると、単振動の式は次のようになります。

$$ x = A\sin\omega t $$

② 角を周期に直す

② 角を周期に直すの場面

この式に、知りたい場面 \(x = \dfrac{A}{2}\) を代入します。

$$ \frac{A}{2} = A\sin\omega t $$

両辺を \(A\) で割ります。

$$ \sin\omega t = \frac{1}{2} $$

ここで \(A\) が消えました。かかる時間は振幅の大きさによらない、ということです。

\(\sin\) が \(\dfrac{1}{2}\) になる角のうち、中心を出てから最初に来るのは \(\dfrac{\pi}{6}\) です。

$$ \omega t = \frac{\pi}{6} $$

\(\dfrac{\pi}{6}\) は度でいえば \(30^\circ\)。1 周 \(360^\circ\) のうち 12 分の 1 しか回っていません。この「1 周の 12 分の 1」が、そのまま「周期の 12 分の 1」になります。

\(\omega\) に \(\dfrac{2\pi}{T}\) を代入します。

$$ \frac{2\pi}{T}\,t = \frac{\pi}{6} $$

両辺の \(\pi\) が約分できて、求める時刻が周期だけで書けました。

$$ t = \dfrac{T}{12} $$

🔑 3. まとめ

中心から端までは 4 分の 1 周期で、\(t = \dfrac{T}{4}\) です。

距離ではなく角で読むの場面

中心から振幅の半分までは 12 分の 1 周期で、\(t = \dfrac{T}{12}\)。

\(T = 1.2\)〔s〕なら、中心から \(\dfrac{A}{2}\) までが \(0.10\)〔s〕、そこから端までが \(0.20\)〔s〕です。同じ距離なのに時間は 2 倍かかります。中心では速さが最大、端では速さが \(0\) なので、端に近いほど時間がかかるのです。

単振動の時刻は、距離ではなく角で読む。変位を \(x = A\sin\omega t\) に入れて角 \(\omega t\) を先に求め、そこから \(t\) に直す。この手順なら、どの位置についても同じやり方で答えが出せます。