物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第3章 運動量の保存
ばねでつないだ 2 つの物体の,片方だけを押す。2 つをまとめた重心は,どんな動きをする?
速さはたえず変わる。\(\mathrm{A}\) は 0.50〜1.5 m/s,\(\mathrm{B}\) は 0〜2.0 m/s。
速さは1.0 m/s のまま変わらない。
図は \(M = 2.0\ \text{kg}\),\(m = 1.0\ \text{kg}\),\(v_0 = 1.5\ \text{m/s}\)。
なぜ \(\mathrm{G}\) だけ等速なのか。重心の速度の式と,全運動量が変わらない理由の 2 つに分けて見る。
2 つをまとめて1 個の物体とみなしたときの代表点の速さ。全質量 \(M + m\) の 1 個の物体が,全運動量と同じ運動量で動くときの速さと同じになる。
位置 → 変化量 → 速度 の順に,重心の速度を式にする。
$$ x_{\mathrm{G}} = \dfrac{Mx_{\mathrm{A}} + mx_{\mathrm{B}}}{M + m} $$
\(M = 2m\) なので,\(\mathrm{G}\) は重い \(\mathrm{A}\) の近くにある。
短い時間 \(\Delta t\) に動いた長さで書く。
$$ \Delta x_{\mathrm{G}} = \dfrac{M\,\Delta x_{\mathrm{A}} + m\,\Delta x_{\mathrm{B}}}{M + m} $$
$$ \dfrac{\Delta x_{\mathrm{G}}}{\Delta t} = \dfrac{M\dfrac{\Delta x_{\mathrm{A}}}{\Delta t} + m\dfrac{\Delta x_{\mathrm{B}}}{\Delta t}}{M + m} $$
長さ ÷ 時間は,その瞬間の速度になる。
位置の式はどの時刻でも成り立つ。時刻 \(t_1\) と \(t_2\) で書いて引き算をすると,分母の \(M + m\) は定数なので,そのまま通り抜ける。
$$ x_{\mathrm{G}}(t_2) - x_{\mathrm{G}}(t_1) = \dfrac{M\,\Delta x_{\mathrm{A}} + m\,\Delta x_{\mathrm{B}}}{M + m} $$
\(x\) を \(v\) に替えただけ。速度も質量の重みつき平均。
\(\Delta t\) を十分短くとれば,どんな動きでもその瞬間の速度になる。
重心の速度の式の分子 \(Mv_{\mathrm{A}} + mv_{\mathrm{B}}\) は全運動量。これが変わらないので,\(v_{\mathrm{G}}\) も変わらない。
水平な力はばねの弾性力だけ(床はなめらか)。
ばねは \(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) を,同じ大きさ・逆向きに押し引きする(作用反作用)。
内力は打ち消し合い,全運動量を変えない。
使える。ばねの力は内力なので,伸びていても縮んでいても全運動量は変わらない。
はじめは \(v_{\mathrm{A}} = v_0\),\(v_{\mathrm{B}} = 0\)。
\(Mv_{\mathrm{A}} + mv_{\mathrm{B}} = Mv_0\)
\(v_{\mathrm{G}} = \dfrac{Mv_0}{M + m}\)
\(v_{\mathrm{G}} = \dfrac{2.0 \times 1.5}{3.0} = 1.0\ \text{m/s}\)
外力が 0 なら,内力がどうはたらいても重心は等速直線運動。ばねでも,衝突でも,物体がいくつあっても同じ。
速度の変化を \(\Delta t\) でわると,加速度でも同じ形になる。
$$ (M + m)\,a_{\mathrm{G}} = Ma_{\mathrm{A}} + ma_{\mathrm{B}} $$
右辺は,\(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) にはたらく力の合計。ばねの力は打ち消し合うので,残るのは外力だけ。
$$ (M + m)\,a_{\mathrm{G}} = (\text{外力の和}) $$
物体が何個でも,重心の速度は「全運動量 ÷ 全質量」。重心は,全質量が集まった 1 個の物体のようにふるまう。
重心の速さは,\(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) の速さのちょうど平均? 答える前に,自分の答えを決めてから読む。
重みは質量。ただの平均ではない。
図の数(\(M = 2m\))なら,
\(v_{\mathrm{G}} = \dfrac{2v_{\mathrm{A}} + v_{\mathrm{B}}}{3}\)
重い \(\mathrm{A}\) の速さ寄りになる。
2 つの質量が同じ(\(M = m\))ときだけ。
\(v_{\mathrm{G}} = \dfrac{v_{\mathrm{A}} + v_{\mathrm{B}}}{2}\)
\(\mathrm{G}\) はばねのまん中に来る。
\(v_{\mathrm{G}} = \dfrac{v_{\mathrm{A}} + v_{\mathrm{B}}}{2}\) は,\(M = m\) のときだけの形。重心は,位置も速度も重いほうに寄る。
重心と一緒に動きながら見る。重心は等速なので,慣性力ははたらかない。
\(\mathrm{A}\) は \(v_{\mathrm{A}} - v_{\mathrm{G}}\),\(\mathrm{B}\) は \(v_{\mathrm{B}} - v_{\mathrm{G}}\)。
$$ M(v_{\mathrm{A}} - v_{\mathrm{G}}) + m(v_{\mathrm{B}} - v_{\mathrm{G}}) $$
$$ {}= (Mv_{\mathrm{A}} + mv_{\mathrm{B}}) - (M + m)v_{\mathrm{G}} = 0 $$
全運動量がいつも 0 だから。
2 つは \(\mathrm{G}\) をはさんで伸び縮みする。2 物体の問題が,1 物体の振動になる。
図の \(X\) は \(\mathrm{B}\) のずれ,\(k_{\mathrm{B}}\) は \(\mathrm{G}\) から \(\mathrm{B}\) までの短いばねのばね定数,\(T\) は振動の周期。
\(\mathrm{A}\) の速さを「\(v_{\mathrm{G}}\)(一定)+ 重心から見た振動」に分けて考える。
はじめ \(\mathrm{A}\) は重心より \(\dfrac{mv_0}{M + m}\) だけ速い。ばねは自然長から始まるので,これが振れ幅。
$$ (v_{\mathrm{A}})_{\text{最小}} = v_{\mathrm{G}} - \dfrac{mv_0}{M + m} $$
\(v_{\mathrm{G}} = 1.0\ \text{m/s}\),振れ幅 0.50 m/s。\(\mathrm{A}\) は 0.50〜1.5 m/s で,止まらない。
振れ幅が \(v_{\mathrm{G}}\) 以上なら,速さは 0 を通る。
$$ \dfrac{mv_0}{M + m} \geqq \dfrac{Mv_0}{M + m} $$
\(m \geqq M\)
押される \(\mathrm{B}\) が同じか重いときだけ。
「ばねに押し返されるので,いつか必ず止まる」は誤り。\(\mathrm{A}\) は \(v_{\mathrm{G}}\) で進みながら振れる。振れ幅が \(v_{\mathrm{G}}\) に届かなければ止まらない。