物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第3章 運動量の保存
質量 \(M\)〔kg〕の小球 \(\mathrm{A}\) と質量 \(m\)〔kg〕の小球 \(\mathrm{B}\)(\(\mathrm{A}\) のほうが重い)を,軽いばねでつなぐ。ばねが伸び縮みするとき,2 つをまとめた重心は,ばねのどこにある?
\(\mathrm{A}\) の側の \(\mathrm{AG}\) には \(\mathrm{B}\) の質量 \(m\),\(\mathrm{B}\) の側の \(\mathrm{GB}\) には \(\mathrm{A}\) の質量 \(M\) がつく。
\(M > m\) なので \(\mathrm{AG} < \mathrm{GB}\)。重心は重い \(\mathrm{A}\) の近くにある。
\(M = 2.0\ \text{kg}\),\(m = 1.0\ \text{kg}\) なので,\(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = 1 : 2\)。
上の図の \(L\)〔m〕は,\(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) の中心の距離。帯の \(\mathrm{GB}/L\) は,比が \(1 : 2\) のままなので,伸び縮みしても \(\frac{2}{3} \fallingdotseq 0.667\) のまま。
なぜ逆比になるのか。シーソー → 数学の内分点の公式 → ばねの伸び縮み,の順に見る。
重心は,2 つをまとめて1 個の物体とみなしたときの代表点。物体の上に無くてよい(輪の形の物体なら,重心は穴のまん中)。
逆比になるわけをシーソーで見て(解説①),重心の座標の式にし(解説②),ばねの同じ箇所を見る(解説③)。最後に,いちばん多い思い違いで確かめる。
重心は,そこで支えると全体がつりあう点。だから,シーソーと同じに考えられる。
重さの無い棒の左端に \(\mathrm{A}\) を,右端に \(\mathrm{B}\) をのせ,重心 \(\mathrm{G}\) で支えると,棒は水平につりあう。
シーソーでは,重い人が支点の近くに座るとつりあう。重心は重いほうに寄る。
図は \(M = 2m\) なので,\(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = 1 : 2\)。長さの比は,質量の逆比になる。
「\(m : M\) に内分する」を,数学の内分点の公式に当てはめる。
\(\mathrm{B}\) の向き(右向き)を正にする。\(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) と重心の座標を,\(x_{\mathrm{A}}\),\(x_{\mathrm{B}}\),\(x_{\mathrm{G}}\)〔m〕とする。
\(p : q\) に内分する点の座標 \(x\) は
$$ x = \dfrac{q\,x_{\mathrm{A}} + p\,x_{\mathrm{B}}}{p + q} $$
重心は \(m : M\) に内分する点なので,公式がそのまま使える。入れると,下の重心の座標の式になる。
分子は,座標にそれぞれの質量をかけた和。座標を質量で重みをつけて平均した形になっている。
\(\mathrm{A}\) と \(\mathrm{B}\) の中心の距離を \(L\)〔m〕とすると,\(x_{\mathrm{A}} = 0\),\(x_{\mathrm{B}} = L\)。
$$ x_{\mathrm{G}} = \dfrac{M \times 0 + mL}{M + m} $$ $$ {}= \dfrac{m}{M + m}\,L $$
\(\mathrm{A}\) は原点なので,重心の座標がそのまま \(\mathrm{A}\) から \(\mathrm{G}\) までの長さになる。
残りの \(\mathrm{GB}\) は \(L - \mathrm{AG}\)。長さの分子は相手の質量になる。
$$ \mathrm{AG} = \dfrac{m}{M + m}\,L, $$ $$ \mathrm{GB} = L - \mathrm{AG} = \dfrac{M}{M + m}\,L $$
\(\mathrm{AG}\) も \(\mathrm{GB}\) も \(L\) に比例する。ばねが伸び縮みして \(L\) が変わっても,比は変わらない。
\(L\) が大きくなると,\(\mathrm{AG}\) と \(\mathrm{GB}\) は同じ割合で長くなる。比は \(m : M\) のまま。
自然長のとき,重心の場所で,ばねにひもを結んでおく。
ばねは全体が同じ割合で伸び縮みする。ばねの同じ箇所が,いつも重心。
軽いばねは,どの部分も同じ大きさの力で引き合う。だから,どの部分も同じ割合で伸び縮みする。
\(\mathrm{A}\) から全体の \(\dfrac{m}{M + m}\) の所にある巻き目は,伸びても縮んでも,全体の \(\dfrac{m}{M + m}\) の所にある。
重心も \(\mathrm{A}\) から \(\dfrac{m}{M + m}\,L\) の所。だから,図の藍の巻き目は,いつも \(\mathrm{G}\) と重なる。
\(\mathrm{GB}\) の分子は \(m\) と \(M\) のどちら? 自分の答えを決めてから読む。
$$ \mathrm{GB} = \dfrac{M}{M + m}\,L $$
分子が \(m\) のほうは \(\mathrm{AG}\)(\(\mathrm{A}\) から \(\mathrm{G}\) まで)。
\(M > m\) なら,\(\mathrm{G}\) は \(\mathrm{A}\) に近く,\(\mathrm{GB}\) が長い。長いほうの分子に,大きい \(M\) がつく。
\(m > M\) なら,\(\mathrm{G}\) は \(\mathrm{B}\) に近くなる。式は同じ \(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = m : M\) のまま。
\(M = m\) なら,\(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = 1 : 1\)。重心がまん中になるのは,この場合だけ。
長さの分子に自分の質量を書くと,比が逆になる。迷ったら「重心は重いほうに近い」で確かめる。
ショートでは流した所。知りたい所だけ読む。
解説①のシーソーを,力のモーメントのつりあいの式にする。
\(\mathrm{A}\) の重力 \(Mg\) と \(\mathrm{B}\) の重力 \(mg\) のほかに,支点が押す力がはたらく。\(g\)〔\(\text{m/s}^2\)〕は重力加速度の大きさ。
支点が押す力は \(\mathrm{G}\) を通るので,モーメントは 0。腕の長さは \(\mathrm{AG}\) と \(\mathrm{GB}\)。
$$ Mg \times \mathrm{AG} = mg \times \mathrm{GB} $$
両辺を \(g\) でわって比にすると,\(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = m : M\)。
解説②では \(\mathrm{A}\) を原点にした。原点が \(\mathrm{A}\) の外にあっても,同じ長さが出る。
$$ \mathrm{AG} = x_{\mathrm{G}} - x_{\mathrm{A}} $$ $$ {}= \dfrac{Mx_{\mathrm{A}} + mx_{\mathrm{B}}}{M + m} - x_{\mathrm{A}} $$ $$ {}= \dfrac{m\,(x_{\mathrm{B}} - x_{\mathrm{A}})}{M + m} $$
$$ \mathrm{GB} = x_{\mathrm{B}} - x_{\mathrm{G}} $$ $$ {}= \dfrac{M\,(x_{\mathrm{B}} - x_{\mathrm{A}})}{M + m} $$
\(x_{\mathrm{B}} - x_{\mathrm{A}} = L\) なので,解説②と同じ長さになる。
原点をどこにとっても,比は \(m : M\)。
物体 1,2,3,… の質量を \(m_1,\ m_2,\ m_3,\ \cdots\)〔kg〕,座標を \(x_1,\ x_2,\ x_3,\ \cdots\)〔m〕とする。重心の座標は,やはり質量で重みをつけた平均。
$$ x_{\mathrm{G}} = \dfrac{m_1x_1 + m_2x_2 + m_3x_3 + \cdots}{m_1 + m_2 + m_3 + \cdots} $$
「質量の逆比に内分する点」は,物体が 2 つのときの短い言い方。3 つなら,2 つの重心を先に求め,そこに 2 つの質量の和を置いて,3 つ目と逆比に分けてもよい。
もとの入試問題では,ばねの重心の箇所を動かない壁とみなして,\(\mathrm{B}\) の単振動の周期を出す。