物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第4章 円運動と万有引力

ばねを切ると、かたさは?

❓ 1. 疑問と結論

水平ばね振り子のばねを,ちょうど半分の長さに切って,同じ小球をつなぐ。ばね定数はいくらになる?

🎯 結論:ばね定数は長さに反比例

ばねを半分の長さに切ると,ばね定数は2 倍。\(\dfrac{1}{n}\) の長さなら \(n\) 倍。ばね定数は長さに反比例する。
💡
ばね定数……ばねを引く力 \(F\) を,ばねの伸び \(x\) でわった値(\(k = \dfrac{F}{x}\))。大きいほどかたい
  • 🔵 もとのばね(上)

    力 \(F\) で引くと \(x\) 伸びる。

  • 🟢 半分に切ったばね(下)

    同じ力 \(F\) で引くと,\(\dfrac{x}{2}\) しか伸びない。

同じ力で伸びが半分なので,ばね定数(力 ÷ 伸び)は 2 倍になる。

なぜ半分しか伸びないのか。ばねの中の力と,巻きの伸び方に分けて見る。

❓ 同じ材料のばねなのに,切るとかたさが変わる?

変わる。材料も巻きの太さも同じだが,巻きの数が半分になる。ばね全体の伸びは,巻き 1 つ 1 つの伸びの合計なので,同じ力で引くと伸びは半分になる。

📚 2. 解説と確かめ

ばねの中の力(解説①),巻きの伸び(解説②),切ったばね(解説③)の順に見る。最後に,いちばん多い思い違いで確かめる。

🤝 解説①:軽いばねは,どこでも同じ力で引き合う

もとのばねを力 \(F\) で引いて止める。ばねの途中の点(リボン)で,左右の部分が引き合う力を考える。

  1. リボンの右の部分だけを見る

    右の端は,小球に右向きに \(F\) で引かれる。

  2. 左の部分も引いている

    リボンの所では,左の部分が右の部分を左向きに引く。

  3. 軽いばねはつり合う

    質量が無視できるので,2 つの力はつり合う。リボンの所の力も \(F\)。

❓ リボンは,どこに付けても同じ?

同じ。どこで分けても,右の部分のつり合いから,そこで引き合う力は \(F\)。軽いばねの中では,力はどこでも同じ大きさになる。

📏 解説②:同じ力なら,どの巻きも同じだけ伸びる

ばねは同じ巻きが並んだもの。どの巻きも同じ力 \(F\) で引かれる(解説①)。

  1. 巻き目の間隔がそろう

    同じ巻きが同じ力で引かれるので,どの巻きも同じだけ伸びる。

  2. 伸びは長さに比例して分かれる

    全体の伸びは \(x\)。壁からリボンまでは巻きの数が半分なので,リボンの動きは \(\dfrac{x}{2}\)。

✂️ 解説③:切ったばねは,その半分と同じもの

半分に切ったばねは,もとのばねの壁からリボンまでの部分(青緑)とまったく同じもの。

  1. 同じ力で,同じだけ伸びる

    力 \(F\) で引くと \(\dfrac{x}{2}\) 伸びる。下の小球の面が,リボンの真下に来る。

  2. ばね定数 = 力 ÷ 伸び

    $$ k' = \dfrac{F}{\dfrac{x}{2}} = 2 \times \dfrac{F}{x} = 2k $$

  1. \(\dfrac{1}{3}\) の長さに切ると

    リボンは壁から \(\dfrac{1}{3}\) の所。同じ力 \(F\) での伸びは \(\dfrac{x}{3}\)。

    \(k' = \dfrac{F}{\dfrac{x}{3}} = 3k\)

  2. \(\dfrac{1}{n}\) の長さなら

    伸びは \(\dfrac{x}{n}\) なので,\(k' = nk\)。

$$ k' = nk $$
\(k\)〔N/m〕:もとのばねのばね定数
\(k'\)〔N/m〕:もとの \(\dfrac{1}{n}\) の長さに切ったばねのばね定数
🔥 ここが超重要

ばね定数は長さに反比例。短いばねほどかたい。ばね定数 × 長さが一定,と覚えてもよい。

🔬 発展:好きな長さに切ると

長さ \(l\) のばねを,長さ \(l'\) に切る。同じ力 \(F\) で引いたとき,長さ \(l'\) の部分の伸びは \(\dfrac{l'}{l}\,x\)(伸びは長さに比例して分かれる)。

$$ k' = \dfrac{F}{\dfrac{l'}{l}\,x} = \dfrac{l}{l'}\,k \qquad (k'l' = kl) $$

\(l' = \dfrac{l}{n}\) とおくと,\(k' = nk\) にもどる。

🧮 確かめ:半分に切ると,ばね定数も半分?

「ばねが半分になるから,ばね定数も半分」と考えがち。答える前に,自分の答えを決めてから読む。

  1. 答えは「いいえ」

    半分になるのは長さと伸び。伸びが半分なので,ばね定数は 2 倍。

  2. 振動の速さで見分ける

    ばね振り子の周期は \(T = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{k}}\)。半分に切ったばねでは

    $$ T' = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{2k}} = \dfrac{T}{\sqrt{2}} \fallingdotseq 0.71\,T $$

  3. 短いほうが速い

    下の振り子のほうが速く振動する。ばね定数が半分なら,逆に遅くなるはず。

⚠️ 要注意!

「長さが半分 → ばね定数も半分」は逆。同じ力で引いたとき,短いばねは少ししか伸びない=かたい。

🔑 まとめ

🔍 3. もっと詳しく

ショートでは扱わなかった先の話。ばねを 2 本つなぐとどうなるかと,入試問題での使い方。同じばね(ばね定数 \(k\))を 2 本つなぐ方法は,長くつなぐ直列と,横に並べる並列の 2 通り。

🔗 直列:長くつなぐと \(\dfrac{k}{2}\)

  1. どちらも同じ力で引かれる

    軽いばねなので,2 本とも力 \(F\) で引かれる(解説①と同じ)。

  2. 伸びは足し算

    1 本ずつ \(\dfrac{F}{k}\) 伸びるので,全体では \(\dfrac{2F}{k}\)。

  3. 力 ÷ 伸び

    $$ k_{合成} = \dfrac{F}{\dfrac{2F}{k}} = \dfrac{k}{2} $$

    長さ 2 倍で半分。長さに反比例とそろう。

  4. 切ったばねで見直す

    もとのばね(\(k\))は,半分のばね(\(2k\))を 2 本つないだもの。

    $$ \dfrac{1}{k_{合成}} = \dfrac{1}{2k} + \dfrac{1}{2k} = \dfrac{1}{k} $$

$$ \dfrac{1}{k_{合成}} = \dfrac{1}{k_1} + \dfrac{1}{k_2} $$
\(k_1\),\(k_2\)〔N/m〕:2 本のばねのばね定数
同じ力がかかり,伸びが足し算になる

⏸️ 並列:横に並べると \(2k\)

  1. どちらも同じだけ伸びる

    2 本を横に並べて小球を引くと,2 本とも同じ \(x\) 伸びる。

  2. 力は足し算

    1 本ずつ \(kx\) で引くので,合わせて \(2kx\)。

    \(k_{合成} = \dfrac{2kx}{x} = 2k\)

$$ k_{合成} = k_1 + k_2 $$
\(k_1\),\(k_2\)〔N/m〕:2 本のばねのばね定数
同じだけ伸び,力が足し算になる
❓ 直列と並列は,どう見分ける?

2 本に同じ力がかかるなら直列(伸びが足し算)。2 本が同じだけ伸びるなら並列(力が足し算)。つなぎ方の見た目ではなく,何がそろうかで決める。

🎯 入試問題では:重心でばねを分ける

なめらかな床の上で,2 つの小球 \(\mathrm{A}\)(質量 \(M\)),\(\mathrm{B}\)(質量 \(m\))をばね定数 \(k\) のばねでつなぐ問題で使う。

  1. 重心 \(\mathrm{G}\) は止まって見える

    重心から見ると,\(\mathrm{G}\) を壁とみなせる。\(\mathrm{B}\) は \(\mathrm{G}\) から先の短いばねの振り子。

  2. 短いばねのばね定数

    \(\mathrm{G}\) はばねを \(\mathrm{AG} : \mathrm{GB} = m : M\) に分ける。\(\mathrm{GB}\) は全体の \(\dfrac{M}{M + m}\) の長さなので,

    $$ k_{\mathrm{B}} = \dfrac{M + m}{M}\,k $$

  3. 周期

    $$ T = 2\pi\sqrt{\dfrac{m}{k_{\mathrm{B}}}} = 2\pi\sqrt{\dfrac{Mm}{(M + m)k}} $$