物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第4章 円運動と万有引力
なめらかな床の上に,質量 \(M\) の三角台を置き,なめらかな斜面に質量 \(m\) の小物体をのせる。小物体がすべり下りると,台は右へ動き出す。誰も押していないのに,台を右へ押しているのは何の力?
小物体が斜面を押す力。斜面に押しこむ向き。
右向き。これが台を右へ押す。
なぜか。物体を1 つずつ取り出し,台が受ける力だけを数える。
2 つを分け(解説①),台が受ける力を挙げ(解説②),水平成分を出して(解説③),台の運動方程式を立てる(解説④)。
接している所で,2 つを少し離して描く。
斜面から垂直抗力 \(N\)。斜面から離れる向き。
作用・反作用なので,同じ大きさ \(N\)・逆向き。
台が受ける \(N\) は,斜面に押しこむ向き。これが「小物体が斜面を押す力」だ。
台の重心から,鉛直下向き。
床から,鉛直上向き。
斜面に押しこむ向き。
\(Mg\) と \(R\) は鉛直なので,水平な成分をもたない。水平な成分をもつのは \(N\) だけ。
3 つの矢印は同じ縮尺。いちばん大きいのは \(R\) で,\(Mg\) と \(N\) の鉛直な部分を支えている。
斜面は水平から \(\theta\)。斜面に垂直な \(N\) は,鉛直から \(\theta\)。
水平成分は \(N\sin\theta\)(右向き)。鉛直成分は \(N\cos\theta\)。
右向きを正とする。台の質量は \(M\),加速度は \(A\),水平な力は \(N\sin\theta\) だけなので,
左辺を \((M + m)A\) にしない。小物体は斜面をすべっていて,台と同じ加速度では動かない。
台だけを取り出したので,左辺の質量は \(M\) だけ。
小物体のほうも取り出すと,何が分かるか。鉛直な向きでは,何がつりあっているか。
小物体の水平な加速度を \(a_x\)〔m/s²〕(右向きを正)とする。小物体が受ける水平な力は,\(N\) の水平成分だけ。
\(N\) の水平成分は左向きなので,
\(ma_x = -N\sin\theta\)
\(MA = N\sin\theta\)
作用・反作用の 2 力は打ち消しあうので,
\(ma_x + MA = 0\)
はじめは 2 つとも止まっているので,水平な運動量の和は 0 のまま。
2 つは別々の加速度で動くので,2 つまとめた \((M + m)A\) の式は立たない。
台は床から浮かないので,上向き = 下向き。
\(R = Mg + N\cos\theta\)
小物体の鉛直な加速度を \(a_y\)〔m/s²〕(上向きを正)とする。
\(ma_y = N\cos\theta - mg\)
すべり下りるので \(a_y\) は負。だから \(N\cos\theta\) は \(mg\) より小さい。
\(R\) は 2 つの重さの和 \((M + m)g\) より小さい。小物体が落ちていくぶん,床を押す力が減る。
台に乗って見ると,台は止まって見える。台にも慣性力 \(MA\)(左向き)を入れると,水平な向きのつりあい(右向き = 左向き)は,
$$ N\sin\theta = MA $$
地面から見た運動方程式と同じ式になる。慣性力 \(MA\) は,台の重心にはたらく。