物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第4章 円運動と万有引力
なめらかな床の上の三角台。なめらかな斜面を小物体がすべりおりると,台は右へ動く。台の加速度は,計算すると次の式になる。この式は本当に正しい?
小物体に押されて,右へ加速度 \(A\) で動く。
横軸に斜面の角 \(\theta\),縦軸に \(A\) をとった曲線。
計算のどこかで,まちがえていないか。
平らな面の上の物体は,台を横に押さない → 台は動かないはず。
壁にそって落ちる物体は,壁を押さない → 台は動かないはず。
とても重い台は → ほとんど動かないはず。
当たり前の結果にならなければ,式のどこかがまちがっている。
3 つの極端な場合を,式とシムで 1 つずつ確かめる。
\(\sin 0^\circ = 0\) なので,分子が 0 になる。
$$ A = 0 $$
平らな面の上の小物体は,台を真下に押すだけ。横には押さないので,台は動かない。
\(\cos 90^\circ = 0\) なので,また分子が 0 になる。
$$ A = 0 $$
垂直な壁にそって落ちる小物体は,壁を押さない。だから台は動かない。
両はしで 0 なので,あいだに \(A\) がいちばん大きい角がある(\(M = 1.5m\) なら約 \(38^\circ\))。
\(M\) が大きいと,分母 \(M + m\sin^2\theta\) が大きい。
$$ A \to 0 $$
とても重い台は,小物体がすべりおりてもほとんど動かない。
台の質量のスライダーを動かすと,重いほど曲線全体が下がるのが見える。
ショートで扱わなかった先の話。式の出し方と,確かめで見つかるまちがい・見つからないまちがい。
慣性力 \(mA\) を足して,斜面に垂直な向きのつりあい。
$$ N = m(g\cos\theta - A\sin\theta) $$
台を右へ押すのは,\(N\) の反作用の水平成分。
$$ MA = N\sin\theta $$
\(N\) の式を,台の運動方程式に代入して,\(A\) について解く。
$ (M + m\sin^2\theta)A $ $ {}= mg\sin\theta\cos\theta $
分子を \(mg\cos^2\theta\) と書くと,\(\theta = 0^\circ\) で \(A = \dfrac{mg}{M}\)。平らな床で台が動く → おかしい。
分母を \(M - m\sin^2\theta\) と書くと,台が軽いと(\(M \lt m\sin^2\theta\))\(A\) が負。押されて左へ動く → おかしい。
全部の確かめを通っても,正しいとは限らない。分母を \(M\) にした式も,3 つの確かめは通る。確かめはまちがいを見つける道具。