物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第4章 円運動と万有引力
なめらかな床の上の三角台。なめらかな斜面に小物体をのせて手をはなすと,小物体はすべり下り,台は右へ動く。小物体が斜面を \(l\) すべるあいだに,台はどれだけ動く?
地面に対して,右へ加速度 \(A\) で動く。
台から見て,斜面に沿って加速度 \(a\) ですべる。
どちらも静止から同時に動き出す。
右へ加速度 \(A\) で動き,距離 \(L\) 進む。
斜面に沿って加速度 \(a\) ですべり,距離 \(l\) 進む。
矢印 \(A\) と \(a\) の長さの比は,寸法線 \(L\) と \(l\) の長さの比と同じ。
なぜか。等加速度運動の距離の式を 2 つ立てて,わり算する。
台と小物体のそれぞれに距離の式を立て(解説①),2 つの式をわる(解説②)。
地面に対して,静止から加速度 \(A\) で動く。
$$ L = \dfrac{1}{2}At^2 $$
台のはじめの位置(点線)から,いまの位置まで。
台に対して,静止から加速度 \(a\) ですべる。
$$ l = \dfrac{1}{2}at^2 $$
\(l\) は台の上で測った距離。組になる加速度も,台から見た \(a\)。
\(l\) は,地面から見た小物体の移動距離ではない。台が右へ逃げるので,地面に対しては \(l\) より短い(図の値で約 0.72 \(l\))。
同時に動き出し,同じあいだの距離をくらべる。
左辺どうし,右辺どうしをわると,
$$ \dfrac{L}{l} = \dfrac{\tfrac{1}{2}At^2}{\tfrac{1}{2}at^2} = \dfrac{A}{a} $$
$$ L : l = A : a $$
同じ時間なら,加速度が 2 倍のほうが,進む距離も 2 倍。すべっている途中のどの瞬間でも,比は変わらない(図の帯の \(L/l\))。
使えるのは,2 つが静止から同時に動き出すとき。初速がある・動き出す時刻がずれるときは,この比にならない。
ショートで扱わなかった先の話。\(A\) と \(a\) の式を入れると,\(L\) が質量と角度だけで決まる。重心で見ると,加速度を使わずに同じ答えが出る。
台の運動方程式と,台から見た斜面に垂直な向きのつりあいから,
$$ A = \dfrac{mg\sin\theta\cos\theta}{M + m\sin^2\theta} $$
慣性力 \(mA\) の斜面に沿った成分を足して,
$$ a = g\sin\theta + A\cos\theta $$
$$ {}= \dfrac{(M + m)g\sin\theta}{M + m\sin^2\theta} $$
\(M + m\sin^2\theta\) と \(g\sin\theta\) が約分で消える。
$$ \dfrac{A}{a} = \dfrac{m\cos\theta}{M + m} $$
答えに \(g\) は入らない。\(g\) を大きくすると,\(A\) も \(a\) も同じ割合で大きくなるから。
外力(重力・床の垂直抗力)は鉛直だけ。全体の重心は水平に動かない(紫の線)。
台から見て左へ \(l\cos\theta\)。台が右へ \(L\) 動くので,地面に対しては左へ \(l\cos\theta - L\)。
$$ ML = m(l\cos\theta - L) $$
$$ L = \dfrac{m\cos\theta}{M + m}\,l $$
加速度を使う道と,重心を使う道で,同じ答え。片方で解いたら,もう片方で確かめられる。